■遠回りして人生を楽しむ
普段の原稿だとオススメのスポーツやエクササイズを紹介しているが、今回は別に握力トレーニングにはこんな素晴らしい点があるから皆さんに勧めたい、というわけではない。新沼氏本人も「生きるためというなら下半身のトレーニングの方が有効だし、クオリティ・オブ・ライフを高めるならヨガとかやった方が良い」と言っている。
だが、何かの道を極めようという人の言葉には含蓄があり学ぶことは多い。良いカラダを作りたい、ダイエットしたいという人にも言えることだと思うが、目標に到達するのに近道はないということだ。イチローも「間違えて遠回りするのが、本当は上手くなる近道だ」と言っている。「簡単にヤセる」「◯日間でマイナス5kg」などと理論上効率的と思われるような情報が簡単に手に入る昨今だが、試行錯誤しながら自分にあった方法を探すことが、実は目標達成には重要なのだ。
有益であること、効率的なこと。そんなことは仕事でもなければ考えない方が良い。いや、仕事でだってそんなのクソ食らえだと筆者は思ってる。実は回り道が結果的には近道であることが多いなんていう副産物もある。
でも一番大事なのは、何のためでもないけど、楽しそうな方に全力で突っ走る人生ってのは幸福度が高そうだってことだ。意味はないかもしれないけど、自分がリンゴをつぶしたり、トランプをちぎったりできる人間として生きていくのも、とても楽しそうじゃないか。
アナタにとって楽しいことがすでにあるなら、気絶するまで熱中してみよう。まだないなら、楽しそうなことを探そう。きっと毎日がもっと楽しくなるはずだ。
新沼大樹
日本最強の握力を持つ男。ウェブページのアーカイブを記録する「ウェブ魚拓」を運営する株式会社アフィリティーの創業者でもある。また、対戦ゲーム「電脳戦機バーチャロン」のプレーヤーとしても全国的に有名。
【握力パフォーマンス動画】
<指でリンゴつぶし! …最後に破裂!!>
<トランプちぎり…>
取材・文/太田史郎(おおた・ふみお)
フリー編集&ライター。最新モノ情報はもちろん、スポーツ、音楽&ダンス事情にも詳しい。
※記事内のデータ等については取材時のものです。