『男としての股間ドライヤー運用への葛藤』
「ガッハッハッ!!」
と豪快に笑っていても、ドライヤーを持つ手は常に上下に小刻みに動かし、まるで美容師が髪の毛をブローするかのように股間に熱風を浴びせ続けている、その股間への集中力!
そもそもなんで股間にドライヤーを当てているのか?
色々調べると、インキンタムシなどの股間への真菌感染の治療には、股間の乾燥が非常に重要だと言われていて、風呂上がりにはシッカリと股間を乾かすことが重要とされているらしい。
『風呂上がりは股間にドライヤー』をすすめる意見もネットにはあるくらいである。
ということは、このジジイもその可能性がないわけではない。『U』はサウナもあるが温泉もあるので、温泉での皮膚治療が目的というのもジジイにはあるのかもしれない。そして股間にドライヤーを当てながらジジイは思うのだ。
オレはインキンだということは悟られたくない!
しかし股間はドライヤーでシッカリと乾かしたい。
ただ、もっとも悟られたくないのは、真剣に気合入れて乾かしているというオレの心の本音だ!
テキトーに乾かしてるように見せれば、インキンだなんて病的な印象は持たれないだろうし、インキンで乾かすようなヤツは隠れて乾かすだろうから、あえて部屋の中心にイス置いて堂々と乾すのはどうだ? 男らしさっていう演出もできるしな。
プラス話もまぜれば,ますます乾かすのは片手間って感じになるだろう。
よし、いいところに知り合いがやってきた。
「オー山田さ〜ん、今日も早いね? ん、なになに元気? 元気か、そうかそうか」
ここで話を中断すると、真剣に乾かしてると思われるからな。でも話がないんだよな〜。ったくしょうがねェな〜。
「そうかそうかガッハッハッ!」
あ〜乾いてきたかな〜チンポ回り……。ちゃんと乾かさないと夜になって痒くなっからな〜。
5分は乾かしていただろう。オレも気になって、体拭いたり耳を麺棒でぬぐったりしながらチラチラ見ていたんだが、5分は乾かしてたな〜。そこまで行くと乾くというより焼けちゃうんじゃないの?
しかし回りにいる人はたまったもんじゃない。チンポ回りを通過した熱風が流れてきますから。
「そんなこといわれてもガッハッハッ!」
ジジイならそう豪快ぶって笑うだろう、股間ドライヤーは辞めることなく。
文/カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。
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