■Impression
UL(ウルトラリニア)接続で8cmフルレンジの小型バスレフスピーカーを鳴らす。中低域に厚みがあってウォームな音が広がる。ボーカルの甘い響きが真空管アンプであることを教えてくれる。ヘッドホンを接続するとスピーカーよりも低域の量感が出る。エッジの柔らかい音だ。三極管接続では高域がクリアーで、音の輪郭がハッキリする。五極管接続はパワーがあるが解像度が低下して、こってりと油絵のような音になる。
オペアンプは数百円のものから数千円もする『MUSES01』までいろいろ試してみたが、オススメはBB(BurrBrown)のOPA2604である。FET構成で価格は700円でお釣りが来るはず。S/N感がよくなり、ギターの響きもリアルになる。元々、付属しているオペアンプは新日本無線の1個25円ぐらいのものなので、700円の部品でも約30倍も高価な部品になる。オペアンプ交換前提であれば、IC引き抜き工具を用意すれば確実である。
真空管の交換では、さらに大きな音質変化がある。オススメは三極管接続である。音質が好ましかった真空管のブランドはスロバキア共和国のオーディオ専用真空管メーカー「JJ Electronic」の製品。価格は約2400円×2ぐらいだった。ebay.comで見付けたロシア製の6P6Sはペアで約900円だった。送料が1400円で合計2300円とかなりのハイコスパ。入手を急がないならロシアの真空管も悪くない。6V6の音は解像度が高く中域に厚みがあって、低域のドライブ感がいい。
三極管接続+オペアンプ交換+真空管を6V6に交換で、『TU-8150』の音はホップ、ステップ、ジャンプの三段階で向上する。特に真空管の交換は見た目のインパクトもあり音も変わるのでオススメである。そして三極管接続、これはジャンパーを差し替えるだけなので手間もお金もかからない。最初から三極管接続を選んで、オペアンプも交換して完成させるという手もあるが、出来れば音の変化を楽しみたい。オプションのインシュレーターはTU-8100用ドレスアップオプションセットを利用した。残念ながらボリュームツマミは互換性がないが、ゴム脚を外した位置にある穴を使えばインシュレーターは使える。交換後は高級感が増して、心持ち低域がタイトでクリアーになったように思えた。もっとやりたい人は高音質なカップリングコンデンサーへの交換だが、これは再び基板まで分解して、ハンダを取り去る必要があるため、ちょっと上級者向けとなる。
実際に組み立てた真空管アンプには愛着がわき、また、このボリュームツマミ交換したいなど、新たな改造欲も出てくる。夏休みには、あなたもぜひ真空管アンプに挑戦していただきたい!
写真・文/ゴン川野
オーディオ生活40年、SONY『スカイセンサー5500』で音に目覚め、長岡式スピーカーの自作に励む。高校時代に150Lのバスレフスピーカーを自作。その後、「FMレコパル」と「サウンドレコパル」で執筆後、本誌ライターに。バブル期の収入は全てオーディオに注ぎ込んだ。PC Audio Labもよろしく!