■Introduction
みなさん夏休みはいかがお過ごしかな。夏と言えば大人の工作。その本命は真空管アンプキットにあり。ポタアンも作った、ヘッドホンアンプも作ったという人にも、ハンダ付けは出来るがキット製作は初めてという人にもオススメなのが、ELEKITの真空管アンプキット『TU-8150』4万5000円である。キット入門機としては『TU-H82』があるが、こちらは真空管を入力バッファに使っておりクラスDアンプとのハイブリッド構成。しかもハンダ付け不要のため1時間以内に完成してしまうという、どちらかと言えば電子工作未経験者向けのキットである。その上のキットに、PCL86シングルステレオパワーアンプキット『TU-8100』があるのだが、こちらはコンパクトであることを追求して電源部にACアダプターを採用。さらに基板が小さく2層構造になっており、ヘッドホンアンプも省略されている。
そこでオススメなのが新製品の6AQ5シングル真空管アンプキット『TU-8150』なのだ。MT管という小さな真空管を使いながら、出力モードの切り替えで最大2.9W+2.9W(8Ω)の出力が取り出せる。また、この3種類のモードの切り替えで音色の違いが楽しめる。さらにプリアンプ部に使われているオペアンプの交換で音質向上が狙える。そして、最後に付属のサブ基板と差し替えることで、もっと大きなオクタルベースのGT管やメタル管に真空管を変更できるのだ。大型のカップリングコンデンサーにも交換可能。このキットを作るだけで、結線方式、オペアンプ交換、真空管交換と3種類のカスタマイズが手軽に楽しめる。さらにこだわればコンデンサーの交換、オプションのインシュレーターに交換、各種メーカーの真空管への交換もできる。同社のサイトには難易度と工作時間が表示されていないが、私が撮影しながら、ゆっくり作って4時間11分だった。難易度的には、他社の真空管アンプキットに比較すれば5段階中の1に相当するぐらい親切丁寧である。まず、すべて基板で組めるためリード線の配線が不要。これが大きい。さらに説明書が非常に分かりやすい。パーツリスト通りに部品を仕分けできれば60%完成したといってもいいだろう。真空管アンプ用のFAQもあるので、事前に必要な工具などを調べられる。万一、完成後に音が出ないなどの不具合があれば、エレキットドクターに点検・手直し、調整を依頼できる有料サポートもあるので安心だ。また基板以外であれば補修パーツも入手可能である。ここまで面倒見てもらえるので、心置きなくキット製作に邁進できるのだ。