■出産の立ち会い中、夫がやるべきこと
では、出産に立ち会ったとき、夫は具体的にどのようなことをやればいいのだろうか。増田先生は次のことを挙げる。
1.本人をリラックスさせる
「初産の場合はとくに、奥さんは緊張するものです。できるだけリラックスさせてあげてください」
2.声をかけ励ましてあげる
「陣痛が始まったら、奥さんの頑張りどきです。途中、くじけそうになっても、『がんばれ、もうじきだよ』など、前向きに頑張れるよう、励ましてあげてください」
3.陣痛の緩和ケアをしてあげる
「例えば、背中をさすってあげたり、水を飲ませてあげたりしてください。そうしてそばにいてあげるだけでもだいぶ違います」
4.どっしりと構えている
「奥さんが途中、不安になってしまったときなどは、どっしり構えていてください。それだけで安心します」
一方、増田先生は、夫が立ち会いながらも、してほしくないこともあるという。
「本人が辛い横でTV、スマホ、本などに夢中になっていたり、隣でグーグー寝ていたりするのは考えものです。先ほどもお伝えした通り、出産は、奥さんだけでなく夫婦一緒に赤ちゃんを迎えるもの。ぜひこのことを忘れずに立ち会われてください」
■夫の立ち会い出産ではこんなエピソードも
増田先生に、これまで夫の立ち会いで印象に残った夫の様子や行動を尋ねると、次のことを教えてくれた。
「分娩した妻より、夫のほうが先に泣く方もいます。目を赤くして言葉をあえて飲み込む方もいれば、号泣する方もいます。自分たちの子どもをこんなに大変な思いをして産んでくれたんだ、という思いなのでしょうか。
また、年に数人は、二人の世界に入ってキスしたり、抱き合ったりしているのも見受けられます。愛情行動なのでしょう。
もともとは立ち会い希望のなかった夫が、流れで立ち会いをすることになったものの、分娩後には『立ち会ってよかった』と感想を言う方もいました。
また、『前回は言われるがままに立ち会いをしたが、前回の感動が忘れられないので、今回も是非立ち会いたい』という第二子の立ち会いをした人も。
中には、お産の呼吸法など勉強してきた夫もいて、その方は上手に奥さんをリードしてくれました」
まだまだ多いとはいえない立ち会い出産。自分の子どもと初対面する感動の瞬間であると同時に、イクメンとしてデビューを飾る瞬間でもある。ぜひ頼りがいのある振る舞いで迎えたいものだ。
取材協力
増田産婦人科
夫や子ども一緒の立ち会い分娩を薦めている。
http://www.masuda-sanfujinka.jp/
取材・文/石原亜香利