■繰り上げ返済を見越して住宅ローンを契約してもいいのか
ところで、アットホームの調査では、多くの人が繰り上げ返済で完済しているが、そもそも繰り上げ返済を見越して契約するのはありなのだろうか。
「確かに、住宅購入時の年齢やその他、個人の状況により、繰り上げ返済を前提に返済計画を考えざるを得ないケースもあるとは思います。ただ、住宅ローン契約時に繰り上げ返済を前提に審査されることはないと思います。
つまり、個人的に繰り上げ返済を見越して住宅ローンを組むのは結構ですが、銀行との取り決めによって、繰り上げ返済を見越した住宅ローン契約を交わすことはむずかしいでしょう。もし銀行の審査が通っても、繰り上げ返済が予定通りいかなかったときのリスクも考えておいたほうがよいと思います」
■共働き世帯・独身世帯の住宅ローンの賢い組み方
そこで町田さんに、住宅ローンを賢く組む方法を、世帯別に教えてもらった。
●共働き世帯
「夫婦ともに扶養に入らず働いているのであれば、ペアローンを組むのも一つの手です。これは一つの物件に対して、夫婦がそれぞれの名義で一つずつ住宅ローンを契約して借り入れを行うものです。夫婦ともに収入があるのであれば、それぞれの借入額に応じて『住宅ローン控除』が適用されるため、単独名義で住宅ローンを組むよりも住宅ローン控除の額がトータルで大きくなります。
ただし、注意点が2つあります。(1)収入がなくなると住宅ローン控除が使えなくなるため、借入時の収入が今後も続くかどうかを検討する必要があること。(2)万が一配偶者が亡くなった場合、団体信用生命保険の対象となるのは配偶者名義の住宅ローン残高のみであるため、夫婦の借入比率を考える、生命保険に加入するなどの対策が必要であることです。」
●独身世帯
「個人的な意見として、独身で持ち家を購入することは収入が高くない限りはお勧めしません。収入が高ければ、住宅ローン控除による節税を見越した借り入れを一考する価値はあるでしょう。そもそも、独身世帯は住宅ローンの審査が厳しく、収入や自己資金がある、勤め先の倒産リスクが低い(大手企業であるなど)の場合でないと、住宅ローンの借り入れそのものがむずかしいのが現実です」