とどまることを知らないSUVブーム。それが超高級車の世界にも飛び火した。これから続々と登場する超高級SUVの中から先陣を切って登場した2台をピックアップ。はたしてその中身とは?
国産車でも今、SUVカテゴリーの人気が高いが、世界に目を向けると、超高級車を造るメーカーの間でもSUVの開発が盛んに行なわれている。しかもこれらが次々に日本市場に進出しており、特にここ2〜3年の動きが激しい。2015年末にジャガーが『F-PACE』、2016年1月にはボルボが『XC90』、同年5月にマセラティが『レヴァンテ』、6月にはベントレーが『ベンテイガ』を投入している。『F-PACE』と『XC90』を除けば、ほとんどが1000万円超えとなっている。
◎高級車ブランドが日本にSUVを投入する理由
なぜここに来て、世界の高級車ブランドメーカーがこぞって超高級SUVを日本に投入し始めたのか。その理由のひとつに個人資産の拡大がある。クレディスイスが公開した「グローバル・ウェルス・レポート」の2016年版によると、日本人富裕層で資産が1億〜5億円の人は282万人ほどいるという。ちなみに2021年には資産1億円以上の人が360万人まで増える見通しだ。つまり、高級車メーカーにしてみれば、日本のマーケットにはターゲットが十分存在しているということになる。実際に日本国内での超高級SUVの売れ行きはどうなのか? ボルボ『XC90』は1000万円超えのPHVモデルから注文が入り上級グレードほど売れているという。2500万円超えのベントレー『ベンテイガ』も最初の入荷分は完売、マセラティ『レヴァンテ』も納車は半年待ちの状態だ。そのほかの高級車メーカーも今、SUVの開発に躍起になっているが、ジャガーもマセラティもベントレーも100年近い歴史の中で初めてSUVを手がけ、大成功を収めたということもその要因となっている。
その過熱ぶりは海外の自動車専門誌を見ていてもよくわかる。例えば、アストンマーティンは『DBX』が最終開発段階に入っているといわれ、アルファロメオは新型セダン『ジュリア』をベースにした『ステルヴィオ』をすでに公開している。また、ランボルギーニは『ウルス』、ロールスロイスも『カリナン』のテストの様子がスクープされている。しばらくの間、高級車の主戦場はスポーツカーではなく、SUVになりそうだ。