■耳垢タイプと腋臭強度の関係は男女で異なる
すでに、耳垢のタイプと腋臭には関係があることが複数報告されているが、今回の評価でも、男性では、耳垢タイプがキャラメル状である群は、湿っていて黄色い及び乾燥した群よりも、有意に腋臭強度が高い結果となった。一方、女性では、耳垢タイプが乾燥した群は、キャラメル状及び湿っていて黄色い群よりも腋臭強度は低い傾向が見られたが、有意な差は認められなかった。
■女性の腋臭強度にはワキ肌状態が関係。乾燥した耳垢タイプの女性でより顕著
女性の腋臭強度とワキ肌状態の関係を調査したところ、腋窩の経表皮水分蒸散量(TEWL)に弱い相関が認められた。より詳細に解析した結果、女性で耳垢タイプが乾燥した群は、腋臭強度と腋窩の経表皮水分蒸散量に相関が認められ、ワキ肌表面からの水分蒸散量が多い女性は腋臭強度が高いことがわかった。
■女性の腋臭のニオイタイプは男性に多いA 型(酸っぱいニオイ)が少ない
腋臭のニオイタイプを男女で比較すると、女性の主なニオイタイプも男性と同様にM型(ミルク様)。また、男性でM型の次に多くみられるA型(酸っぱいニオイ)は、女性ではK型(カビ様)、C型(カレースパイス様)、E型(蒸し肉様)よりもさらに少ないことがわかった。
■出産で女性の代謝が変化
30歳代の女性では出産経験と経表皮水分蒸散量に関係が認められ、出産経験がある女性は無い女性と比べ、肌表面からの水分蒸散量が高いことがわかった。しかし、出産経験の有無による腋臭強度に有意な差は見られなかった。このことから、出産はワキ肌表面からの水分蒸散量に何らかの影響を及ぼすものの、腋臭強度上昇の主要因ではないと考えられる。
これらの研究結果から、対処が必要なニオイや体臭の発生メカニズムが男女で異なることが考えられます。これらの知見を活かすことで、女性向けのデオドラント製品の開発が期待できることだろう。
文/編集部