上司に怒られた後、仕事のモチベーションが低下したという人は多い。中には、相手を避けるようになった人もいる。モチベーションが低下し、上司を避けるようになれば、業務効率は著しく低下するだろう。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の普及を行なう、日本アンガーマネジメント協会が以前、「怒りの感情が業務に及ぼす影響」に関する調査をインターネットを通じて実施したところ(※調査は、社員(職員)100人以上の企業(団体)に勤める正社員(正職員)の男女とコールセンター勤務の男女に対して行ない、部下・後輩に怒った者および顧客に怒った者(A)515名、上司・先輩に怒られた者および顧客に怒られた者(B)774名が回答)、怒られた部下が上司に対して「パワハラだと感じる」のは53.8%で、怒った上司が「パワハラだと感じている」のはわずか16.7%。3倍以上の認識のズレが発生していることがわかった。
■「怒った(怒られた)」とパワハラの関係性について
怒られた部下が上司に対して「パワハラだと感じる」のは53.8%。怒った上司が「パワハラだと感じている」のはわずか16.7%。3倍以上の認識のズレが発生。
怒られた部下が上司に対して「パワハラだと感じる」のは53.8%であるのに対し、怒った上司が「パワハラだと感じている」のはわずか16.7%と認識のズレがあることが発覚。特に、部下側がパワハラだと感じた理由は、「きつい口調だった」「怒鳴るなど感情的になった」「口汚く罵った」など、感情的に怒られたことが理由の半数以上を占めているのに対し、怒った上司側がパワハラだったと感じた理由のうち半数以上を越えたのは、「直接関係のない過去のことまで持ち出して怒ってしまった」と、怒った内容についてであり、パワハラと感じている理由についても明らかに差が生じている。
怒る側、怒られる側で非常に大きな意識の差が出ている。怒る側は総じて自分の怒る態度がパワハラに当たるとは思っていないのに対して、怒られる側はほとんどの項目でパワハラにあたると感じている。この結果について 日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介氏は以下のように考察する。
「怒る側、怒られる側で非常に大きな意識の差がでています。怒る側は総じて自分の怒る態度がパワハラに当たるとは思っていないのに対して、怒られる側はほとんどの項目でパワハラにあたると感じています。怒る側はこれくらいは指導の範囲として怒っていると考えている人が多いのではないかと考えられます。また、自分の怒り方に問題があると考えている人も少数派と言えます。一方で怒られる側からすると、上司の怒り方の多くはパワハラに該当するようなものであり、適切な怒り方ではないと考えています」