日本では麺類を食べるときにずずーっと音をたてて食べたり、スープを飲むときにすする音を出したりする。しかし、米国では嫌われ、音を立てること自体がマナー違反というのはよく知られている。そこで欧米をはじめとした海外諸国では、麺類をすする音についてどのような扱いがされているのか探ってみた。
■麺をずずーっとすするのは日本人くらい
日本人は、麺をすすって食べる習慣がある。しかし、海外では必ずしもすすらない。外国人がラーメンを食べている姿の映像を見てみると、すすらず、噛んで食べているのがよく見られる。
新横浜ラーメン博物館が米国、ヨーロッパ、アジアなど世界各国から訪れた外国人たちに対して行った調査によれば、ラーメンの麺をすすらない理由として、「マナー違反」「服が汚れるから」「すすり方を知らない」が多く挙がったという。
つまり、海外ではほとんど場合、麺をすすること自体が食事マナーに反しているというわけだ。
【参考】ラーメンはすすると格段に美味しくなる。
■日本人はなぜ麺をすするのか
では、なぜ日本人は麺をすすって食べるのか。同じ新横浜ラーメン博物館の調査によると、次の理由が挙がっていた。
第1位は「理由は分からない」、次いで「すすって食べたほうが美味しい。スープを一緒に吸い上げるから」「すすったほうが麺が冷めるので熱くても食べやすい」。「美味しい・食べやすい」というのは後付けで、日本人には「麺はすすって食べるもの」というのがすでにインプットされているようだ。
調査に協力していた、いまじょう矯正歯科クリニックの今城広治先生によれば、ラーメンをすするには、「スープを口の中に留めたまま、鼻から息を出す」という呼吸をする必要があるという。外国人にとっては、この簡単に見えることが意外とむずかしいようだ。日本人は幼い頃から、教えられたか、見様見真似で覚えたかして、麺をすすって食べる技術を自然と身に付けていると考えられる。