■86cmに統一された収納家具
この86cmという寸法を導き出した同社が最初に商品化したのが、今では定番中の定番商品であるスチールユニットシェルフだ。1997年に発売されたこのスチールユニットシェルフを皮切りに、ユニット家具全般から、木製家具、果ては家にいたるまで、この86cmという寸法をもとに作られているのだ。
現在では商品バリエーションも増え、一見同じように見えない商品も多いが、よくよくみてみるとこの86cmという寸法に行き着くように、無印の収納家具はしっかりと設計されているのである。
■収納用品も! 86cmなのは家具だけじゃない
この86cmによって統一されているのは家具だけではない。家具に並べて小物の整理などで使うバスケットやボックス、ポリプロピレンケースといった無印を代表する収納用品もまた、この寸法を元に作られている。86cmの内寸である84cmの均等分割をもとに収納用品を作ることで、無印の収納家具と収納用品はピッタリと納まるのである。
この無印の寸法の導き方は、ユーザーからすればあたりまえに見えるかもしれない。しかし実際の家具作りの現場はそうではないのだ。量産される家具の寸法は、材料となる木材を無駄なく使えるサイズでデザインされることが多い。するとこの、86cmという中途半端な寸法は導き出すことができないのである。
従来の生産側の都合による大きさから、住宅の寸法から逆算してユーザーが本当に求めている大きさへ。無印の収納家具は、ユーザーのことを本当に考えた結果によってつくられているのである。
■製品情報
取材・文/小山和之
※記事内のデータ等については取材時のものです。