収納家具や収納用品などを数多く販売する「無印良品」(以下・無印)。そんな無印の収納家具・収納用品のほとんどには、同社が導きだした『86cm』という寸法が隠れている。同社の家具にはなぜ86cmという寸法が隠れているのか?そして、86cmがピタリと納まる理由は? 無印の収納の考え方を紐解いていこう。
■日本の木造住宅から導き出された『86cm』
日本の木造住宅の多くは『木造軸組工法(在来工法)』という方法で建てられている。この工法では1尺、1間といった尺貫法という長さの単位を用いて設計され、182cm(=1間=6尺)が基準の長さとなる。無印ではこの尺貫法をもとに基本寸法(モジュール)を決め、その寸法を大型家具から小型の収納用品にいたるまであてはめている。柱間の最小寸法として用いられる91cm(182cmの半分=半間)から、余裕をみて少し小さい86cmを外寸に、84cmを棚幅に用いて、基準寸法(モジュール)としているのだ。
この外寸86cm、棚幅84cmこそが、日本で使われる家具を作るにあたって最も多くの家にマッチする、最大公約数的な寸法だったのである。