【たわいもないおしゃべり】
銀座六丁目のとあるビル。多くの名士が集まる会員制バー「銀座ルーム」で夜な夜な繰り広げられる人間模様から、男子と女子の二つの感性の間で感じた夜の戸惑いからひらめく助言とエールを綴ったエッセイです。
銀座ルームのカウンター席。基本的にすべての客の素性は把握しているつもりなので、お隣に座ったこともこれも何かのご縁ですから、私はすぐにご紹介してしまうのです。男女が隣合わせとなることもしばしばなのだけど、ここでも差が見えてしまうのです・・・。
何が違うのか…。それは「おしゃべり」。女子はたわいもないおしゃべりが大好き。でもフリートーキングが苦手な殿方が思ったよりも多いのです。仕事の話はもちろん、立場上体験したり聞いたりした一般人が知りえない話を自慢げに話たり。仕事がらみの話からしか会話できないのかしら?
せっかくお隣さんをご紹介しても、「どんな仕事してるの?」「どこに勤めてるの?」「あ〜、おたくの会社に○○って部長いるでしょ〜俺、昔から仲良し〜」などなど、自分の仕事につながりやしないかというスタンス見えみえの話から始まるケースだと、遊びに来ている女子もときめかないし、殿方の自慢話に付き合うことになれば、女子も溜息もの……。おかまだって溜息もの、、、こんな話にばっちりついてきちゃう仕事大好きっ娘女子もたまにいるけれど、こんな女子は正直あんまりモテてないわね……。
中学で英語を始めて習うとき、今でも「This is a pen」から習うのかしら?これはペンですなんてこと、あたしも、これだけ英語を話して仕事しているけど、今の一度だって言ったことないわ。これと同様に、初めて話す女性との会話で仕事の話から始まるのもいかがなものかしら……。
素敵な殿方は、仕事の話なんかせず、「あっ、こんな素敵な女性の隣なんて今日はラッキーだな。」とか、まっ、お世辞と見え見えなセリフだけど、気の利いたお世辞を使いこなし、こんなことから会話をスタートさせてるわね。私もかわいがっていただいている作家の林真理子先生の名言「花には水、女にはお世辞」ね。あたしは、これに付け加えて「おかまには金」なのでお忘れなく。