安全で健康的な食材や食品を求める人が増えている。大量生産の製品ではなく〝いいもの〟を。その日本の消費志向の最新トレンドを追った。
〈2009年スタート〉マルシェの老舗Farmer’s Market @UNU
「青山ファーマーズマーケット」という愛称で知られる、毎週開催のマルシェ。住所/東京都渋谷区神宮前5-53-70 青山・国際連合大学前広場 開催は毎週土・日 営業時間/10:00〜16:00 ■問い合わせ先/NPO法人Farmer’s Market Association http://farmersmarkets.jp/
◎東日本大震災以降、マルシェがブームに
週末ともなれば、毎週どこかでマルシェが開かれている。大規模な公園、神社仏閣、カフェや雑貨店の店先……規模は異なれど、売っているモノは似ている。有機栽培の野菜やオーガニック食品、洗剤などの生活雑貨も目立つ。マルシェの社会的意義や集客力を見込み、商業施設も続々とスペースを開放している。しかし定期的な開催を続けている例は少ないようだ。
マルシェブームの先陣を切ったのが、毎週末、休むことなく東京・青山の国連大学前で開催している『Farmer’s Market@UNU』だ。運営事務局の酒井かえでさんに、ブームの背景について伺った。
「ここ2〜3年で来場者数が倍近く増えました。この潮流が生まれたのは震災以降。食材の生産者の顔が見たいという意識の高まりがあると感じます」
今は、消費者の興味は農作物のみならず、水、土、肥料など、ものづくりの過程にまで広がっているという。
「堆肥に動物の糞などを使わずりんごの皮、落花生などを使用する農園の野菜が注目されるようになりました。私たちが社会的に果たしているのは、都市の生活者と生産者を結びつけるプラットフォーム。出店者さんたちの思いを伝えることは、食への興味喚起にもつながります」
マルシェは、屋外で行なわれるので、同時にレジャー気分を味わえるのも魅力のひとつ。お店で見ると割高に感じても、作り手が販売していることで、ついつい買ってしまう。商品を買うことで、真摯にものづくりに取り組む生産者のスポンサーになった気分も味わえる。そんな人とのつながりも、マルシェの魅力なのだ。