鎌本さん:NBAのスタープレーヤーだったジェイソン・キッドのプレースタイルが大好きで、どうしても履きたかったんです。ミッドカットのほうが主流だったんですが、なかなか手に入れることが難しくて。ハイカットも当時はプレミアム価格になっていて、普通に買おうとすると4〜5万円。学生に買える値段じゃない……。その頃は並行輸入をやっているショップがめちゃくちゃ多かったんですが、その分閉店するショップもたくさんあって。閉店セールを狙って9800円ぐらいで買いました。デザインも凄く90年代的な感じがありますよね。今見るとこれが5万円もしたの? って思いますし、コーディネートは明らかにしにくい(笑)。
店頭に並んでいる商品はもちろん、雑誌の広告の表示にもプレミアム価格が付いているのが当たり前だった時代。ハイテクスニーカーブームの真っ只中にいたとはいえ、掘り出し物以外は手が届かなかった。
鎌本さん:ファッションのメインストリームからズレていたとはいえ、『AIR MAX 95』とかはもちろん気になっていました。ただ、当時はとても買える値段じゃなく……。閉店セールを狙って掘り出し物を探したり、人気は高くなかったけど自分の趣味に合うモデルを選んだりという感じでしたね。Commonが「Can I Borrow a Dollar」というアルバムでナイキの『AIR FORCE 1 MID』を履いているのを見つけたときは、同じものがどうしても履きたくて探しました。90年代の終わり頃から2000年代初めには『AIR FORCE 1』が大ブームになりましたけど、当時はエア マックス シリーズに比べたら全然安く買えたんですよ。それでもセール狙いでしたけどね。
バスケットボールと出会い、それをきっかけに音楽への興味が湧き、両方のカルチャーがスニーカーへと繋がっていった。鎌本さんがたどった道も間違いなく90年代的といえるはず。
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取材・文・神津文人
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