ここ数年、個性的なルックスと小気味いい走りが楽しめるコンパクトカーが人気を集めている。昨年、話題を集めた2台をピックアップ。その実力をチェックした。
ここ最近、自動車業界で注目を集めているのが、小排気量+ターボのパワーユニットを積んだコンパクトカーだ。今回、紹介する2台はスズキ『イグニス』のハイブリッドモデルとルノー『トゥインゴ』。
昨年春にデビューした『イグニス』は、5ナンバーサイズのコンパクトクロスオーバーという新ジャンルを開拓。最近のスズキ車の例にもれず、ハンドリングのよさと使い勝手のよさで人気となっている。一方、ルノー『トゥインゴ』は2013年まで販売されていたモデルの後継車として、昨年夏に日本に上陸した3代目。特徴的なデザインは80年代に一世を風靡した『5(サンク)』の影響を受けており、一目でおしゃれさが伝わる。昨年の日本カー・オブ・ザ・イヤーには諸事情でノミネートされなかったが、参加していればきっと上位に喰い込んだはずだ。
◎見た目以上の走りが楽しめるエンジン
『イグニス』は2BOXのコンパクトカーだが、最低地上高を180mm確保しており、オフロード走行も可能。〝なんちゃってSUV〟ではなく、本格派クロスオーバーに仕上がっている。ちなみに4WDモデルは外観からは想像できない、ハイレベルなオフロード走行も可能だ。
気になるパワーユニットだが、4気筒1.2L+ターボ。ハイブリッド車は3.1PS、50Nmのモーターが状況によりアシストするタイプで、モーター単独での走行はできない。それでも燃費はJC08モードで28.0km/L。試乗時の実走燃費も16〜24km/Lを記録した。ハンドリングはやや重めだが、高速のコーナリングも安定しており、最新のスズキ車の高い完成度を十分実感することができる。
一方の『トゥインゴ』はメルセデス・ベンツ『スマート』とシャーシを共有しているが、乗り比べると、クルマ全体のチューニングについては独自の基準で作っていることが一目瞭然だ。動きは軽快そのもので、MTを利用した6速ATのギクシャク感もない。特に高速走行時の安定感は抜群。パワー不足やトルク不足を感じることはなかった。おしゃれで個性的な外観は女性にも受け入れられそうだ。
ただし、安全装備に関していうとフランス車の標準レベル。少し物足りなさを感じた。