堀井「同じ相手に、違うお面?」
みつさん「同じ特定の相手に対して、会社の廊下では『会社員というお面』で接し、同期の集まりでは『友達というお面』で接し、会議室では『部下というお面』で接し、家では『旦那というお面』で接する。
そりゃあ、疲れるだろうさ。お面の早替えショーみたいな。間違えたお面つけて舞台に上がって、観客が大爆笑するコント。よくあるじゃん?」
堀井「意識したことはなかったですが、言われてみるとお面の早替えショーをやってるかも」
みつさん「だから、その相手にどのように接したらいいのかというアイデンティティーが潜在意識下で揺らいでしまってるんだよ。普通は、特定の相手に対してひとつのお面だけで接するからね。
A部長という上司には、常に『部下のお面』だけをかぶってればいい。同期のBさんには常に『友達のお面』を。A部長に対して、『友達のお面』をかぶることなんてないだろ?」
堀井「えぇ、ぶっ飛ばされますよ。部長に急にタメ口を聞いたら」
みつさん「だから、接しやすい。部長へは常に敬語だけ使っていればいい。同期には常にタメ口だけ使っていればいい」
堀井「社内結婚なんて、しなければよかった……」
みつさん「そんなことない。実は、君は最先端の経営コンサルティングの人たちと同じことをしている。日本の会社に生産性がないのは、命令系統が上下の1本ラインしかないからだということがわかってきている。
上司は、常に部下に命令する」
堀井「え? 当然じゃないですか?
部下が上司に命令するなんて、聞いたことありませんよ?」
みつさん「それを、当然だと思っているのが恐ろしい点なんだよ。
命令するためには、相手のことを『無能なヤツだ』と思い込む必要がある。無能な相手だからこそ、「自分の命令が必要なんだ」と。
でも、部下のほうが良いアイデアが出る時だってあるし、部下のほうが、上手に立ち回れる案件だってある。
『上司』というたった一つのお面をかぶっているせいで、会社が有機的に動けない状況になっているんだよ」
堀井「言われてみれば、命令するからには、無意識にも『相手は無能だ!』と思い込んでますね。
そうか、色んなお面をかぶることは悪いことじゃないんだ」
みつさん「最終的には、すべてのお面を破って人間対人間としてつきあうことが重要なんだけど、たったひとつの『上司』というお面しかかぶってない人よりも、君はいろんな声を取り入れることができるようになってるんだよ。
奥さんを相手に、お面の早替えショーを練習しといて、よかったじゃん」
堀井「何か、初めて社内結婚のこの苦しい状況が長所に思えてきました。ありがとうございます」
【今週のみつさんの智慧】
「上司」というお面をかぶると、部下が無能に見える。「部下」というお面をかぶると、上司は完璧だと思い込んでしまう。たったひとつのお面だけを使って相手に接するよりも、相手もいろいろなお面をかぶってるだけで、中身は同じ人間だと知ろう。
さとうみつろう●大学卒業後、エネルギー系の企業に入社。2011年、ブログ『笑えるスピリチュアル』を開始。様々なブログランキングで1位に。14年に会社を辞め、全国各地でトークショー&ピアノライブを開催。現在は那覇市在住。http://ameblo.jp/mitsulow/
※この連載は実際のDIME読者からの相談で構成しています。
文/編集部
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