——営繕係り休憩室。それは、あなたの会社の中にある秘密の扉。会社の中で、あなた以外は誰も知らない秘密の部屋。悩んだら、いつでもおいで。悩みがなくても、遊びにおいで。さぁ、今日もひとりのサラリーマンがその扉のノブに、そっと手を伸ばしたようです。
【今週のサラリーマン相談】
社内恋愛で結婚した同期入社の妻が、部署は違いますが、いつの間にか私より出世し、会社で顔を合わせる際に緊張してしまいます。それどころか、家庭内でもなぜだか私に命令口調です。この状況だと、会社でいい仕事なんてできません。いっそ転職したいくらいです。
サラリーマン堀井(入社19年目、42歳、一般事務職、愛知県)
サラリーマン堀井(以下、堀井)「そもそも、24時間ずっと顔を合わせているというこの関係性が、異常かもしれません」
営繕のみつさん(以下、みつさん)「ところで話は変わるけど、お祭りの屋台っていいよねー」
堀井「ちょっと、話がいきなり変わりすぎじゃないですか? まだ一度も僕の話を聞いてもらえてない状況で、『ところで』って、しかし」
みつさん「屋台では何が好きだった?」
堀井「無視して話を進めないでください。えーっと、屋台ですか? 僕は金魚すくいが好きでした。あと、射的とか」
みつさん「射的の屋台って、ずらーっと景品のお面が並んでいるよね。ヒーローのお面」
堀井「あぁ、並んでいますね。仮面ライダーとか、セーラームーンとかのお面がたくさん。
あのー、僕の相談ってもう消滅したんですか? まだ、絶好調で悩んでいるんですけど?」
みつさん「いや、転職したいですって言うから、屋台のお面屋さんを勧めてるんだけど?」
堀井「え? そんなハローワーク対応、初めて聞きました。まさか、祭りの屋台に転職しろと勧めてくるだなんて」
みつさん「だって、君はお面を集めるのが大好きだろ?」
堀井「どういうことですか?」
みつさん「会社の廊下で、奥さんと手をつなぐかい?」
堀井「まさか!」
みつさん「じゃあ、デートで映画館に行くときは?」
堀井「手をつなぎますよ」
みつさん「ほら。会社では、『よそよそしくするお面』をかぶってる。そして、家では『べたべたするお面』を」
堀井「でも、誰もがそうじゃないですか? 会社では、サラリーマンのお面を。恋人や妻の前では、ダーリンのお面を」
みつさん「もちろん、みんな場所によってお面を替えているけど、君の場合は、同じ相手に対して何度も違うお面をかぶらないといけないから、大変なんだ」