男女ともに抱えている人が多い薄毛の悩み。悩んでいる人の中には、市販の育毛剤などを使い、人知れず育毛に励んでいる人も多いことだろう。「発毛率●%以上」「驚異の発毛率!」「リピーター続出!!」などといった刺激的なキャッチコピーで売られている育毛剤に、大枚をはたき望みを託したりするものだが、慎重に選ばないと、中には頭皮を弱らせ抜け毛の原因になるものもある。これではお金と時間をかけて薄毛になるようなもので、それまでの努力が仇になるというものである。
ところで、今回紹介する『世界一簡単な髪が増える方法』(アスコム)の帯には、「体験者の満足度95%以上」と謳われている。これは、半年以上予約が取れない育毛ヘッドスパ「PULA(プーラ)」(埼玉県さいたま市)で髪のコンディションが改善したお客さんの割合のこと。男性で90%以上、女性でほぼ100%が、髪のコンディションが改善したという。一体、PULAではどんなことを行なっているのか? そして育毛のために気をつけるべきことは何であろうか?
PULAの代表で本書の著者は、「髪の毛を育てるのは野菜や果実などを育てるのと似ている」(序章 p28)と言い切る。言い換えれば、育毛は、
ステップ1:髪の毛がしっかり生える「土台」を整える
ステップ2:頭皮に「毒素」を与えない
ステップ3:じっくり「育てる」
という3ステップで進めていくことになる。
■オイルパックで酸化汚れを落とし、頭皮の環境を整える
ステップ1で言う「土台」を整えるためにすべきことの1つが、頭皮の酸化した汚れを取り除くこと。酸化汚れは過酸化脂質という脱毛作用のある脂に変わる質のもので、取り除くだけで頭皮の状態が驚くほど改善するというが、シャンプーでは落としにくいのが難点らしい。何をすれば落ちるかといえば、オイルパックだという。ヘッドスパを受けなければいけないのか……と思いきや、これが自宅、しかも月に2、3回、定期的に行なえばいいだけだというからありがたい。
オイルパックではホホバオイル、オリーブオイル、ココナッツオイル、アーモンドオイル、セサミオイル、アボカドオイル、などといった植物性の天然成分100%のものに、薄毛のタイプ別に合うアロマオイルを混ぜたものを使用。シャンプー前に頭に塗り、マッサージして頭になじませるだけでいいらしい。これだけで、酸化汚れが蓄積する前に落とすことができるというから、負担には感じないだろう。
ただ、最初は週1回のペースを1か月続ける方がいいらしい。「集中的に酸化汚れを取ると、地肌の様子が目に見えて変わってくるはずです。脂臭かった頭皮臭の大半も気にならなくなります。毛が抜けて生えるというのを繰り返すヘアサイクルが安定してきます。また、マッサージも念入りに行うことで、頭皮が柔らかくなります」(第3章 p89)とのことだ。
■水道水の塩素は髪にとって「毒素」
ステップ2の「髪に『毒素』を与えない」というのは、薄毛は体に毒素がたまりすぎたときに起きることに由来している。人間は誰しも、毒素をためていくコップを持っており、「そのコップに毒素がたまっていく途中では何も起きませんが、コップに毒素が満タンになってこぼれてしまったときに薄毛が始まってしまうのです」(序章 p33ページ)という例えを用いた、薄毛が起きるメカニズムの話はわかりやすい。コップの大きさは人によって違うので、小さい人には早く薄気が起きてしまう、ということになる。
では、「毒素」は何を意味するのか? 合成剤使用のシャンプーやドライヤーの熱、紫外線などがそれに当たるが、盲点なのが、水道水に含まれる塩素だ。要は、水道水そのものが毒素と言っているようなもの。シャンプーするときに何を使えばいいのか……と悩みそうである。しかし、解決方法は、塩素を除去するシャワーヘッドに交換するだけと簡単。悩むほどではなかった。
それにしても、水道水の塩素がどれほど育毛にとってはよくないのか。塩素は水道水の中にいる病原菌などを殺し消毒するために使われ、0.1ppmの濃度で大腸菌が1分半で全滅するほど強力。そんな強力なものが入った水でシャンプーをすれば「頭皮にいる善玉の常在菌を殺してしまい、頭皮の環境が悪化してしまいます」(第3章 p103)ということだ。
また、塩素は一瞬で頭皮に吸収される性質を持つという。そのことが理解できる簡単な実験を、本書では冒頭のカラーページで紹介しているが、なかなか衝撃的な結果が見られる。塩素は目に見えない育毛の「敵」と心得た方がよさそうだ。