■“大人の京商”から“子供の憧れ”になった「トマホーク」
テレビ番組などで子供達になじみ深かったタミヤに対して、京商はエンジンRCカーのイメージが強かった。だから、タミヤよりも大人のイメージが強かったといえる。燃料を用いて走らせるエンジンカーは、整備やコストなどが子供でまかなえるような代物ではなかったからだ。
しかし、1983年に登場したRCバギー「トマホーク」は速かったけれど電動だった。1万9800円という当時の価格も、小学生だって手に届くかも? と思わせた。
KYOSHO トマホーク
価格:3万4560円(税込)
トマホークは、レーシングバギーを競技の世界へ引き上げた名作「スコーピオン」(1982年に登場)の基本構造を踏襲しながらも、軽量化などを徹底し、走りを磨いたモデルとして大人気になった。当時のライバルは後述する、タミヤのバギーチャンプで、バッテリー込みの装備重量は約2100gあった。対するトマホークは1450gほどと大きな開きがあり、走らせればそのスピード差は明らかだった。
KYOSHO スコーピオン
価格:2万7000円(税込)
走りはもちろんだが、トマホークの魅力は何といっても、繊細な作りだった。RCカーというよりも、スケールカー的な“飾っておきたい”という気分にさせるディテールが満載、金属パーツも豊富に使われていて、その“本物感”に京商ならではの薫りがあった。
復刻版のサスペンションアームは鍛造アルミを採用。余談だが、筆者は金属が大好きで、その理由としてRCカーの存在が大きかったと思う。当時、プラモデルカーを作った子供が次に行き着くのが、RCカーであった。そこで金属の美しさと精巧さ、頑丈さに目覚め、やがてオートバイ、クルマのメカニズムへ興味を惹かれていく…それが男の子の趣味の王道だったと思う。
サスペンションはアルミ製シリンダーとステンレス製のシャフト。この赤が“The 京商”という感じで、みんな好きだった。