■連載/ペットゥモロー通信
Dr.林のわんこの処方箋
人工哺乳について
ペットショップやブリーダーから犬を購入する場合は関係ありませんが、自宅で生まれた新生子には人工哺乳が必要なことがあります。
母犬がいれば、哺乳も温度管理も通常母犬が全部やってくれますがそうでない場合、捨てられていたのを拾ったり、母犬が面倒見ない場合は人間がフォローするしかありません。
まずは哺乳についてです。
正常な新生子は誕生後の最初の5日間は約2~4時間おきに母乳を飲みます。ですから人工哺乳の場合も同様の間隔で行わなければなりません。市販の犬用粉ミルクを体重や日齢(生後何日目)に合わせた量を取り、お湯に溶かして人肌まで冷ますか、液状になっている犬用ミルクを使用します。
飲む力の強い子(吸いつきが強い)は哺乳ビンで与え、力の弱い子はスポイトで与えます。しかし、中には全然吸わない子もいるので、その場合は動物病院に連れて行きましょう。動物病院では口から胃にチューブを入れて、無理矢理にでも少しずつ飲ませてあげないといけません。これを強制給餌と言います。
正常であれば、この頃の体重は1日に5~10%の割合で増加するはずですので、毎日ベビースケーラーなどで体重をチェックしましょう。例えば、300gの体重が、翌日には315~330gになっているはずなのです。このペースで大きくなると普通なら生後一週間で体重は約2倍になる計算です。
子犬が1匹だけなら、その子だけ見ていればいいのですが、母犬が5頭も6頭も生んだ場合はどうすると思いますか?
子犬は大きくなるにつれて体力差が出てきます。つまり、大きくて強い子がいつもたくさんの乳を飲み、小さくて弱い子犬はますます弱っていくのです。私たちは、あまり大きさに差が出ないように弱い子犬がたくさん乳を飲めるように手伝って上げる必要があります。乳は一番下側にある乳房が一番よく出るので、弱い子犬をなるべくそこにつけてやるようにします。放っておくと力強い子がその場所を取ってしまうこともあるので弱い子がしっかりと乳を飲むのを見ていてあげてください。
子犬はお腹いっぱい乳を飲むとすぐに眠ってしまいます。しかし、キューキューと鳴いて落ち着かない時は、お腹が空いている可能性がありますので、母乳が不足しているかもしれません。その場合はミルクを補って飲ませてあげましょう。
当然、飲むだけではなく、それに合わせて出るものを出してもらわないと困ります。通常は母犬が子犬のウンチやオシッコを刺激するために子犬の肛門や外陰部を舐めます。