「2015年の10月以降から、急激に金庫の売り上げが急激に伸びました」と語るのは、25の都道府県に約200店舗を展開する「カインズ」で、金庫のバイヤーを務める岩渕さんだ。
話を聞いたのは、カインズ 商品本部 家電・オフィス事業部 バイヤーの岩渕俊憲さん。左は、同社本部の近隣にある「カインズホーム 本庄早稲田店」
「“マイナンバー制度”の導入で需要が増えると考え、従来の2倍の売場面積にした特設コーナーを設置したところ、予想を上回る売り上げを見せました。さらに、マイナス金利の導入もあり、需要が一層高まっています」
「カインズホーム 伊勢崎店」の店頭に配置された特設コーナー。同社では、配送だけでなく、開梱、設置を無料で行うキャンペーンを実施。「金庫は重量があるので、設置まで行なう弊社のサービスは非常に好評です」
なぜ、消費者が金庫に飛びついたのか? それは多くの人が持つ“国への不信感”かもしれない。マインバーによって個人情報が徹底的に管理し、これまで以上に税金を課そうとしているのではないか? マイナス金利にしても、あくまで企業が保有する資金を市場に回らせて、景気を刺激しようするとはいうけれど、本当に個人資産に影響がないのか? そんな不安が、“タンス預金”を誘発していると考えられる。
マイナンバーカードが、多くの人の不安を煽り、金庫購入のきっかけになったといわれる。
画像:総務省HPより
実際、カインズ全店舗合計で1週間で100台以上の販売する商品もあったという。
「今後も、この傾向は継続すると思われます。消費税率10%への引き上げが迫っています。資産を自ら管理しようと考える人は、ますます増えるのではないでしょうか」
5桁の暗唱番号を入力するテンキー式。鍵の紛失などの心配がなく好評だ
多くの人は、自己防衛を試みようと手にし始めた金庫。しかし、普段、縁が薄いプロダクトだけに、何を選んだらよいか分からない人も多いはず。そこで、
岩渕さんにカインズの売れ筋の傾向を聞くと、「シンプルなシリンダーキー式の金庫が売れています。また、操作性の高いテンキー式も人気ですよ」と岩渕さん。
JISの標準加熱試験の様子。金庫を炉内で規定時間加熱した後、高温の炉内に放置。庫内温度177℃以下で、中の新聞紙が判読できるかが合格基準
「もちろん、耐火性に優れていることも気にされています。が、それに加えて、先の震災の影響もあってか、防水性も考慮する方も多いですね。近年はタイや中国製が増えていますが、現状では、耐火性などの機能面は、メイド・イン・ジャパンと金庫大国のアメリカ製が優れています。弊社では、それらのモデルを店頭に置いています。金庫は大切な資産を守るもの。各モデルの性能はもちろん、使い勝手の良さを見極めて金庫は選んでください」