【サラリーマン相談室】定時に帰る新入社員と教育係の私に不満をぶつける周りの社員たち
——営繕係休憩室。それは、あなたの会社の中にある秘密の扉。会社の中で、あなた以外は誰も知らない秘密の部屋。悩んだら、いつでもおいで。悩みがなくても、遊びにおいで。さぁ、今日もひとりのサラリーマンがその扉のノブに、そっと手を伸ばしたようです。
【今週のサラリーマン相談】
同じ部署に配属された新入社員の教育係をしています。テキパキ行動するし、事務作業も早いし、よくできる女性なんですが、5時のチャイムが鳴ると即行で帰ってしまいます。先輩社員を少しは手伝ってほしいのですが、会社としては新人に残業させるなということになっています。
周りの社員からの不満は教育係の私にぶつけられますが、でも厳しく指導すると、セクハラとかパワハラとか言われそうで、困っています。
サラリーマン今井(入社12年目、35歳、製造業、東京都)
営繕のみつさん(以下、みつさん)「君も一緒に、帰ればいいじゃん」
サラリーマン今井(以下、今井)「え? 彼女は5時のチャイムと同時に帰っちゃうんですよ? 僕に5時に会社を出ろと?」
みつさん「出りゃいいじゃん」
今井「出れるかっ。みんな、業務で残ってるんですから」
みつさん「君の業務は、新人ちゃんの教育係なんでしょ? 新人が帰った瞬間に、君の仕事もなくなるじゃん。パソコンがないのに、マウスだけ会社に残ってる感じでしょ? パソコンが帰ったら、マウスも帰らなきゃ」
今井「おうちに帰るマウスって、わたしゃネズミかいっ! 無理ですよ、みんなの目があります」
みつさん「会社には、いろんな役割の人が必要なのはわかるかな? マウスだけだったら、会社は回らないよね?」
今井「マウスだらけだったらディズニーランド目指すしかありませんもんね。マウスも、パソコンも、キーボードも会社には必要です」
みつさん「そこまで理解できてるのに、どうして5時ピッタリに帰る彼女の役割がわからない?」
今井「と、言いますと?」
みつさん「彼女は、新人ちゃんでしょ? 会社で、何か役に立っていることある?」
今井「皆無です。現状では、何の役にも立っていません」
みつさん「そう。そんな彼女が唯一、役に立つこと。それが、5時ダッシュじゃないか」
今井「5時ダッシュなんて、何の役にも立っていません。ほかの社員はイラ立つし、教育係の私は責められるし」
みつさん「じゃあ役に立ってるじゃん。彼女がいなかったら、ほかの社員は不満を言う機会を得なかったと思うよ。彼女がいるから、ブーブー文句を言えて、ストレスを発散できている。自分が会社に遅くまで残っている苦労を、肯定できている。
『サラリーマンはなぁ、就業規則には書いてないことも雰囲気でこなさないといけないんだてやんでべらぼーめー』と、同僚との酒の席のつまみになる」
今井「でも、みんなが5時に帰ったら業務が回らなくなります」