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2017.03.29

中学・高校の英語教員の6割以上が自身の英語力不足を実感

 次期学習指導要領の改訂に向けた検討が中央教育審議会で進められる中、中学校や高校における英語教育も「使える英語力」を育てるための変革を迫られている。ベネッセホールディングスの社内シンクタンク「ベネッセ教育総合研究所」が2015年に、全国の中学校・高校の校長1152名ならびに中学校・高校の英語教員3935名を対象に「中高の英語指導に関する実態調査2015」を実施したところ、中学校・高校の英語の授業では音声指導や文法指導などが多く、「話す」「書く」を含めた言語活動がまだ十分に行われていないという課題が明らかになった。中高生の英語によるコミュニケーション能力の向上のためには、従来の文法中心の指導からの脱却が求められている。

■授業では、音声・文法指導や「聞く」「読む」活動が中心。「話す」「書く」活動は少ない

 授業中の指導方法では、「音読」「発音練習」「文法の説明」などが 9 割(よく行なう+ときどき行なう、以下同様)を超え、音声を中心とした指導や文法指導が多いことがわかった。それに対して、「即興で自分のことや気持ちや考えを英語で話す」「英語で教科書本文の要約を話す」「英語で教科書本文の要約を書く」などの「話す」「書く」活動の実施率は低く、特に「ディスカッション」「ディベート」は 1 割未満と低かった。

中高の英語指導に関する実態調査2015 中高の英語指導に関する実態調査2015

■7~8 割の教員が「生徒が自分の考えを英語で表現する機会を作る」ことが「とても重要」と回答。一方で、実行している教員は少ない

 指導において重要だと思うこととその実行についてたずねた。そのギャップ(「とても重要」-「十分実行している」)をみると、「生徒が自分の考えを英語で表現する機会を作る」(中学校 82.3%-19.2%、高校 66.8%-9.9%)ことや「4 技能のバランスを考慮して指導する」(中学校 69.2%-15.3%、高校 59.4%-9.8%)ことでは約 50~60 ポイントの大きなギャップがある。「表現する機会を作る」「4 技能のバランス」など、「話す」「書く」活動を取り入れることの難しさを表している。

中高の英語指導に関する実態調査2015

■英語教員は入試対応、自分自身の英語力の不足、指導方法など多くの不安や悩みを抱えている

 英語指導における悩みについてたずねた質問では、生徒に学習習慣がついていないこと、授業準備の時間の不足、生徒間の学力差の大きさなど教科共通の悩みに続いて、英語教員に特徴的な「コミュニケーション能力の育成と入試のための指導を両立させることが難しい」という項目が高かった(中学校 73.7%、高校 74.4%、とてもそう思う+まあそう思う、以下同様)。コミュニケーション能力の育成と現在の読解問題中心の入試への対応を両立させることへの戸惑いがみてとれる。

 その他には、「自分自身の英語力が足りない」(中学校 66.7%、高校 62.9%、「英語教師に求められることが多くて負担である」(中学校 65.3%、高校 75.2%)、「効果的な指導方法がみつからない」(中学校 53.0%、高校 60.3%)といった項目が高かった。

中高の英語指導に関する実態調査2015
 
 英語教員の多くは、「英語で表現する機会を作る」ことや「4技能のバランスを考慮する」ことの重要性を認識しているが、その実行が十分ではないことも明らかになった。その背景には、自分自身の英語力の不足や指導方法に悩みがあることもみえてきた。

 現在、4技能(「聞く」「話す」「読む」「書く」)を測定する入試の導入が検討され、それに伴い、中学校・高校の指導は大きな変革を迫られている。中学校・高校の英語教育をよりよいものとするためには、英語教員の英語力や指導力の向上は不可欠。そのためには、日々、生徒に向き合い英語教育を担っている英語教員のさまざまな悩みや不安を解消するサポートが必要だろう。

 研修の機会の拡充や研修プログラムの開発、また加えて、教員養成課程や教員免許制度、教科書・教材のあり方の検討も喫緊の課題といえそう。
 英語教育改革は、英語教員とともに、行政、学校、民間事業者など英語教育に関わるあらゆる関係者が一体となって課題解決に取り組むべき課題である。

【調査概要】
調査対象:全国の中学校・高校の校長および英語教員
●中学校 校長 717名、教員1801名
●高等学校 校長435名、教員2134名
調査時期:2015年8月~9月

 

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