毎日、忙しくて心が折れる―。そんなことを人知れず心の中でつぶやいていないだろうか。自分のやりたいことができていない。自分らしい生活ができていない。SNSで見栄を張っても、むなしいばかり…。そんなときに限って、仕事や人間関係にトラブルが…。
こうした日常的に起きる悩みや問題に対しては、強い心を持って立ち向かいたいものである。精神科医で日本マインドフルネス普及協会代表理事の奥田弘美先生に、心を強くするために必要なことと、今すぐできる5つのコツを教えてもらった。
■心を強くするために必要なこと
奥田先生によれば、現代においては、心が折れやすい、打たれ弱い大人が増えているという。その原因の一つに、「切り替えの悪さ」を挙げる。
「何をするのにも便利な時代。幼い頃から、特に不自由なく育ってきた私たちは、ちょっとしたことで心が折れかけてしまいます。特に感受性の強い人、気遣いの多い人、優しい人ほど、ちょっとしたことで心配になったり不安になったり落ち込んでしまったりしやすいものです。でもそれでいいのです。折れかけても、またよみがえればいいだけ。柳の木がしなっても、また反り返って真っ直ぐに戻るように」
心が柳の木のようなタフなしなやかさをつけるためには、どうしたらいいのだろうか?
「ひとことでいうと『心の筋肉をつけて、しなやかにする』ということ。『気持ちの切り替え力』ともいえます。
実はメンタルが一見タフそうに見えていても、『実は一度ひどく落ち込んだ』『一時はくよくよ悩んだ』という人は意外と多いものです。そういう人は一度心が折れかけても、心を切り替える力が強いため、再び元気によみがえってくるのです。
この心の切り替え力をつけることが、『心に筋肉をつけて、しなやかにする』ということ。すぐ心が折れてなかなか復活できない人は、気持ちを切り替えるための『心の筋肉』が鍛えられていないので、少しずつ筋トレしていけばいいですね」
では、心の筋肉を鍛えるには、どうすればいいのだろうか。奥田先生はこう教える。
「今注目を集めている『マインドフルネス瞑想』を上手に活用していくといいと思います。
心の筋肉を鍛えるためには、まず目の前に起きる問題や悩みと向き合って、現実をありのままに見つめることが大切です。このそして自分の心の奥にある『落ち込みの根っこ』に気づいて、必要ならばしっかりと癒したり栄養を与えたりする。そうすれば、徐々にその根っこの問題を解決し、克服していくことができます」