■男女の味好みの傾向の正体は?
日本能率協会総合研究所の調査では、男性はしょうゆ味や焼き肉のたれ味など、しょうゆ系の塩辛い味が好まれていた。一方、女性はかつおだしやチーズ、トマトなど上品な味が好まれている。なぜこのような違いが現れるのだろうか? 笹川医師より、推論ではあるというが、次のような興味深い理由を聞き出すことができた。
「女性は、<甘い>、<酸っぱい>、<塩辛い>、<苦い>、<うま味>の5つある味覚のすべてにおいて男性より鋭いことが指摘されています。女性ホルモンの一つであるプロゲステロンが、味覚を鋭くしている可能性があります。太古の昔から、女性は家にいて子育てをする必要がありましたので、味覚を鋭くすることにより、食品の品質の良し悪しを確かめ、自分だけでなく子供を守ろうとしたのかもしれません」
なかなか奥が深そうな男女の味覚差。再度、味覚について考えながら食事を楽しんでみてもいいかもしれない。
笹川 五十次 (ささがわ・いそじ)さん
山形徳洲会病院長。 1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業。2004年に山形徳洲会病院副院長、2008年から現職。
取材・文/石原亜香利
※記事内のデータ等については取材時のものです。