男性と女性では、よく言われるように好みの味覚が若干異なるようだ。そこで、医師の見解も交えて、男女の味覚の違いについて迫ってみたい。
■男女それぞれの味の好みに変化が起きている!?
男女の味覚の差といえば、男性は辛い味やしょっぱい味が好きで、女性は甘い味が好きとうのが一般的である。しかし、実際のところ、味好みの差はもっと多様であるようだ。
日本能率協会総合研究所が行った「味の地域差に関する2015」の調査で「好きな味」として最も多かったのは、男女共に「しょうゆ味」で64%、次いで「かつおだしの味」「塩味」「みそ味」「マヨネーズ味」が50%以上を占めていた。
男女差が大きかった味としては、「カレー味」や「焼き肉のたれ味」で、これらは男性のほうが好む人が多い。一方、女性のほうに好まれていた味には、「かつおだしの味」や、「チーズ味」、「ホワイトソース味」、「トマト味」などがあった。
また、3年のうち、男性の間でグンと人気が伸びた味は「焼き肉のたれ味」。プラス11ポイントとなった。一方、女性の間ではプラス10ポイントの「バジル味」の上昇が目立っていた。
■男女ではなぜこのように味が異なる?
ところで、男女ではなぜ、好きな味が異なるのだろうか? 山形徳洲会病院の笹川五十次医師の見解によれば、女性は男性よりも五感の感覚に優れており、味覚も感じやすいという。
特に甘い味は女性が好む味ということが、米エール大学の研究チームが行った乳幼児への実験で分かったという。それは、乳幼児に与えるミルクに糖分を加えたものは、女の子の赤ちゃんのほうが、男の子の赤ちゃんよりも多くミルクを飲んだ赤ちゃんの割合が18%も多かった。
笹川医師は、このような好みの味覚の男女差について、ホルモンバランスが影響しているのではないかと述べている。これは、米カリフォルニア大学による、ラットの研究からきているようだ。思春期以降のラットは、雌のほうが甘い味を好むのだという。まさに人間と同じだが、研究では、雌のラットが甘いモノを好むのは、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが同時に働いているときだけだという。プロゲステロンのほうが分泌が増える妊娠中や授乳期には、甘い味を好まなくなる。ホルモンのバランスは、いかに味覚に関係しているかが分かる。