なんと、九度山駅から慈尊院までだけではなく、慈尊院から高野山までも参詣者を案内していたのだ。しかもその後も、ゴンが慈尊院に住んでいると知った参詣者から「高野山までの道のりをゴンに案内してもらった」というエピソードが数多く寄せられた。中には、「ご飯をあげようとしても欲しがらない」「途中で休憩すると一緒に待ってくれる」などの話も出てきたという。まるで、高野山まで無事に案内するのが私の役目、と言わんばかりのエピソードだ。
しかも、約1200年前の弘法大師の時代にも高野山の案内犬が存在していた、という伝説があることから「弘法大師の案内犬の再来・生まれ変わり」「お大師さんの犬」などと言われ親しまれてきたという。
そんなゴンは、弘法大師の母公の命日でもある2002年6月5日に息を引き取った。その死を惜しみ「高野山の案内犬ゴン」の碑が慈尊院の境内に建立されたというわけだ。