■連載/ペットゥモロー通信
人命救助のヒーローはハスキー犬だった
1924年2月。アラスカ北部の都市ノームでジフテリアが蔓延し、大量の血清が必要になる事態となりました。
1万人を超える犠牲者が出る可能性がある最悪の事態を防ぐため、全長1085キロという距離を走りぬいて血清を届けたのは、電車でもなく車でもなく飛行機でもない、「犬ぞり」でした。日本でいうと青森~東京間という長距離を、なんと犬と人がバトンタッチを続けて血清を届けたのです。
勇敢な20人のマッシャー(操縦者)と100頭以上の犬達の努力で、30万ユニットの血清はわずか5日半でノームに到着。この偉業はラジオや新聞で大々的に報道され、犬ぞりチームは一躍ヒーローになりました。
特に注目を浴びたのは、ノームに到達する最終区間を担当したリーダー「バルト」です。
強く利口なバルトは、吹雪でほとんど見えない道をまっすぐに目的地に向かって駆け抜け、町の人だけでなく犬ぞりチームをも救ったヒーローなのです。
また、「バルト」と合わせてヒーローと讃えられているのが、全区画中最長の距離を走り抜けたチームリーダー「トーゴ」です。バルトチームの85キロに対して、トーゴチームはなんと146キロを走破した最強のチームです。
「バルト」「トーゴ」が有名になったものの、この時関わったどの犬達も、それぞれが一心に与えられた仕事をやり抜いた立派なヒーローです。
文/大原絵理香(ペットゥモロー編集部)