そうそう、新型Vクラスには3種類のボディーサイズ(というか全長)があるのだが、一般ユーザーが選択すべきはショートかロング。その違いは実はキャビンにはない。異なるのはラゲッジルームセパレーターと呼ばれるラゲッジを上下に仕切れ、立てることも外すこともできる高級感ある収納付きトレーを備えたラゲッジの奥行きのみである。ショートは340mm、ロングは510mmとなる(アルファード/ヴェルファイアは340mm~)。ガッツリ荷物を積み込みやすいのはロングだ。
また、ラゲッジルームの開口部地上高はVクラスが530mm、アルファード/ヴェルファイアは605mmと、重い荷物の出し入れ性やペットの乗降性ではVクラスが圧倒する。
男気ミニバンとしてお薦めは、2016年6月に加わったパノラミックスライディングルーフ、レーダーセーフティパッケージを標準装備し、AMGライン採用する「V220d Sport Long」だ。エンジンのディーゼル感は皆無とは言えないものの、わずか1400回転から強大なトルクがさく裂し、トルキーで力感に満ちた加速力をのびやかに発揮してくれる。車重は2.4tを超えるが、そう感じさせない重厚にして豪放な男気な走りっぷりである。
乗り心地はまさしくメルセデスベンツだ。つまりドシリとした重厚感と荒れた路面や段差を乗り超えてもマイルドにいなすストローク感あるタッチを両立する。高速直進性は矢のごとし。クルージング中の車内は実に静かでもある。アジリティセレクトがコンフォートの場合、80km/h時のエンジン回転数は約1300回転とごく低いのである。
アルファード/ヴェルファイアもたしかに乗り心地そのものは高級車然としているのだが、路面によって2列目席の微振動が気になることがある。ひじ掛けにひじを添えるとビリビリする。それは重く重心の高いシート×ロングスライド機構の弊害だ。その点、Vクラスのシートはエグゼクティブラウンジシートほど豪華ではないが、取り付け剛性は鉄壁。微振動など皆無と言っていい。結果、長時間の着座でも疲れにくいのである。