食事によるダイエット
◆フードの選択:低脂肪・高繊維質で、なおかつ他の栄養素のバランスの良い食事を選択します。現在さまざまなフード会社から減量用の療法食が販売されています。これらのフードは一般的なフードに比べると割高ですが、獣医師の管理のもとダイエットを安全に行うためには非常に効果的です。私の一押しはヒルズ社のメタボリックスユリナリーです。
◆フードのあげ方:フードは、その猫の年齢にあわせた低脂肪・高繊維質の銘柄にし、決めた分量を1日数回に分けて与えます。一度に食べる量を制限し、分けて食べさせることでエネルギーの消費が大きくなりダイエットがしやすい身体になると考えられています。
◆食事量:現在、必要とされる摂取カロリーから約20~30%ほど減らして給餌量を決めましょう。そしてそれを2~3回に分けて与えましょう。これはあくまでも摂取カロリーなのでこの点に注意をしましょう。食べ残しても30分程度で片付けて、置きっぱなしにしないようにしましょう。そして、週1回のペースで猫の体重チェックを行います。
1週間で体重の1~1.5%程度減らしていくのが理想とされています。一般的には減量速度はダイエット開始時期は速く、その後減速します。最初に設定したフード量はその猫の減少ペースによって変えて行く必要があります。ほとんどの猫は一定のペースでダイエットが成功することはありません。減量スピードが遅すぎる場合はさらに10%ほどフードのカロリーを減らしましょう。
ただし、摂取カロリーを減らしたフード量があまりに少なく本人がひもじい思いをする場合は、動物病院で相談して、カロリーが少なくても食事量が減らないフードを選びましょう。このようなフードは市販物ものではありませんので特別療法食になります。
◆お勧めのフード:ヒルズ社のメタボリックスユリナリーがおすすめです。極端にフードの量をへらさずにダイエット効果が得られます。メタボリックスユリナリーがこれまでの減量用フードと決定的に違うところは、体重減量後のリバウンドに配慮しており、『太りにくい体質』を作り上げることができます。さらに尿路疾患にも配慮されている優れものです。さらにメタボリックスは、猫のビスケットもあるので「どうしてもおやつをあげたい」という方にも使っていただけます。
◆食事を切り替える際の注意:いきなりすべての食事を変えないで、最初は今までの食事に1割程度新しいフードを混ぜ、便の調子などをみながら徐々にダイエット用の食事を増やしていきましょう。最低でも1週間程度かけて切り替えてください。
〜ダイエットしたいけど・・・よくある悩み~
◆「多頭飼いで、ダイエットさせたい子が他の子のフードを食べてしまう」
多頭飼いの場合、置きえさで与えてしまっている場合が多いのではないのでしょうか?まずは与えるフードのカロリー制限、給餌量をしっかり測って与えましょう!
☆ 工夫☆
1.部屋を別々に分けて与える。
2.食べたらすぐに片付けて、その子の必要な分だけ与える。
3.の方法はタッパーなどにあらかじめ1日の分量を分けておき、そこから欲しがるときに少しずつあげると与えすぎることがないでしょう。
◆「最初は食べても、飽きて食べなくなった」
ダイエット食を食べなくなってしまうと、ダイエットを諦めてしまう方も少なくはないと思います。メタボリックスユリナリーと同じヒルズ社からはw/dやr/d、ロイヤルカナン社から減量サポート、その他の会社にも減量や体重維持を目的とした食事が販売されています。基本的には動物病院で販売しているキャットフード以外には的確にダイエットができるものはありません。いくつかのフードをローテーションして飽きさせない工夫もできます。
文/林 文明(はやしふみあき)
1988年北里大学獣医学修士課程修了。1998年コロラド州立大附属獣医学教育病院に留学し、欧米の先進動物医療を学ぶ。現在は、山梨・東京・ベトナムで5つの動物病院を経営。獣医師、日本動物医療コンシェルジュ協会代表理事。最新著書『愛犬を長生きさせる食事』(本体1000円+税)好評発売中!
◆日本動物医療コンシェルジュ協会
http://www.jamca.gr.jp/
◆ノア動物病院
http://www.noah-vet.co.jp/