また、運がいいことを口に出して言うのも脳科学的に有効だ。
「心の中で『ラッキー』と思うよりも、実際に『運がいいぞ!』と口にしたほうが、多くの感覚器官が働き、記憶が強化されやすくなります。声に出せば『自分は運がいい』と脳に定着しやすいのです」
逆に、自分を粗末にしている人は、絶対に運に恵まれないと断言する。「自分にはできっこない」と決めつけている人、意見が対立した時に無条件で必ず折れてしまう人などは要注意だ。
「ゲームから降りればラクですが、それは、脳の使い方の習慣として非常によくありません。自分で何も決められなくなってしまいます。そういう人は、もしラッキーなことが起きても気づくことすらなく、気づいたとしても誰かにむしり取られてしまうんです」
◎自分を騙さず、不安と真っ向勝負する
かといって、無理やり「自分はできる!」と思い込ませればいいというものでもないらしい。
「意志と想像が真逆にある場合は、必ず想像のほうが勝ってしまうんです。これは“努力逆転の法則”というメジャーな法則です。例えば、悪いことが起きそうな予感がする時、『きっと大丈夫』と言い聞かせても必ず失敗するものです。ビジネスの場では、かなりシビアなシチュエーションに置かれることがあるでしょう。そういう時は『どうしよう』という不安な気持ちと真正面から向き合う勇気が必要です。不安を書き出したほうが、本来の実力を発揮できるというアメリカのデータもあります」
◎人の真似をすると脳の回路も似る
職場の人間関係──特に周囲の人に恵まれているか否かは、ビジネスマンの運・不運を決定する要因のひとつ。そこで出会った人の考え方は、想像以上に脳に大きな影響を与えているからだ。
「ですから、成功している人や、この人みたいになりたいと思う人の真似をすべきです。持ち物や使う言葉、企画書の書き方、食べ物、何でもいいのです。そのうちに脳の回路も似てきて、『あの人なら、この場面でどう決断するだろう』ということまでわかるようになってきます。ただし、脳の使い方は1日では変わりません。新しい回路ができるのには少なくとも3週間かかるとされていますから、意識して3週間続けるといいでしょう」
大事なのは、なりたい自分に近づいていくことだ。
「尊敬するのが一番難しいのが、自分なんです。自分を心から好きになれた人こそ、運がいい人なのだと思います」