「運を味方につける方法」は確かにあった──。『平成教育委員会2013!! ニッポンの頭脳決定戦SP』(CX)で優勝、気鋭の脳科学者が明言。科学がつきとめた「運のいい人」への法則。
◎ツキを呼ぶ脳と見放される脳の違い
ツキのある・なしは運命か、はたまた神の気まぐれか──? 運を味方にできるのはどんな人なのかは誰もが興味のあるところだ。
『科学がつきとめた「運のいい人」』の著者・中野信子さんは「脳にも個性があり、使い方があります。“運がいい”とされる人たちには、科学的に説明がつく行動パターンや脳の使い方があることがわかってきました」と話す。
そもそも、人間の脳には、持って生まれた特徴があるという。セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の量には個人差があり、さらにそれらの分解の度合いによっても、脳の個性が異なってくる。例えば、セロトニンの分泌量が多い人は安心感が強く、反対に少ない人は不安を感じやすい、といった具合だ。
「安心感が強ければいい、というわけではありません。逆に楽観的になりすぎて、先を考えない行動をとってしまいがちとも言えます。不安になりやすい人は、先を見通す力があり、大ケガをしないというメリットもあるのです」(中野さん、以下同)
このように、自分の脳の特徴を自覚できれば、ある程度行動をコントロールすることはできるが、生まれつきの脳の個性をがらりと変えることは不可能だ。そこで、脳の使い方を変えることで、運のいい脳に変えられるという。
「一般的に、運・不運は誰の身にも公平に起きていることです。運のいい人は、単に恵まれているのではなく、運をキャッチするのがうまい。それと同時に、不運を防ぐような行動や考え方をしているのです。その第一条件が“自分を大事にしている”という点ですね」
自分を大切にするとは、他人の意見に惑わされず、自分の価値観をしっかり持っていることを指す。これを中野さんは「幸せのものさし」と呼んでいる。人間の脳内には、快感を感じる報酬系という回路があり、人助けなど社会的な行動も含め、自分が気持ちよい行動をとると活動する。常に「快」の状態を作り出せる人は、理想の自分と実際の自分が一致している人。つまり自分が好きな人。こういう人は余裕があるため、人を惹きつけ、人から好かれるという。