その3~食欲不振~
投薬を何度も失敗したりご飯にまぜて薬を与えていると用心深くなった猫は食事をとらなくなってしまうことがあります。
そんなときには、可能であれば薬の投薬を中止し嗜好性の高いご飯に変更して機嫌を直してもらったり(自己判断での投薬中止は危険ですので獣医師にご相談ください)、食欲増進薬を使ってみる、内服薬ではなく同じ作用の注射を動物病院で打ってもらう(ただし、内服薬と同じ内容のものがない場合もあります)などの方法があるので投薬が難しいときは無理せず、まずは動物病院で相談をしてみましょう!
その4~投薬が引き起こす恐れのある問題~
猫の食道から胃までの排出には時間がかかるため、薬が食道に停滞することにより食道が炎症を起こしてしまったり、狭窄してしまったりすることがあります。その予防として投薬後水を飲ませてあげたり、ご飯と一緒にあげられるものであればご飯にまぜてあげるなどの工夫をすることができます。
また代謝の違いによって人や犬では安全なお薬でも猫にとっては中毒を引き起こしてしまうような薬もあります。
例えば、人の風邪薬によく配合されているアセトアミノフェンという成分は猫では肝障害や溶血を引き起こし、重度な場合は死亡してしまいます。
「うちのこ、最近風邪気味だから人間のお薬のませちゃおうかしら」という判断は絶対にしないでください。猫に薬を飲ませる場合は、動物病院でその子のために処方されたお薬を使ってください。
その5~総まとめ編~
猫への投薬ストレスを減らす工夫をしましょう。
投薬は猫の飼い主さんにとっても猫にとってもなかなか大変な作業です。薬がうまく与えられなければ、投薬練習に動物病院に来ていただいたり、薬を錠剤から液剤にかえたり、注射で打ったりなど様々な工夫をすることができます。
また、薬の中には食道狭窄などを起こしやすいお薬もありますので投薬後には水を飲ませてあげることも大切です。もし、投薬で悩んでいるかたがいらっしゃるのであれば動物病院の先生にまずは相談してみましょう。
文/林 文明(はやしふみあき)
1988年北里大学獣医学修士課程修了。1998年コロラド州立大附属獣医学教育病院に留学し、欧米の先進動物医療を学ぶ。現在は、山梨・東京・ベトナムで5つの動物病院を経営。獣医師、日本動物医療コンシェルジュ協会代表理事。
◆日本動物医療コンシェルジュ協会
http://www.jamca.gr.jp/
◆ノア動物病院
http://www.noah-vet.co.jp/
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構成/ペットゥモロー編集部