■連載/ペットゥモロー通信
Dr.林のにゃんこの処方箋
猫に薬を飲ませる
みなさんは猫にお薬を投薬するときに“泡ぶくぶく”になってしまった経験はありませんか?猫の投薬ってとても難しいですよね。
今回は、なぜ“泡ぶくぶく”になってしまうのか?お薬は液体、錠剤、粉など色々な形状がありますがどんな利点、欠点があるのか?投薬が引き起こすストレスなどのお話をしましょう。
その1~泡ぶくぶく~
では、なぜ猫の投薬時に“泡ぶくぶく”になるのでしょう?
ぶくぶく=よだれです。よだれは過去の嫌な経験に反射的に反応してでていると考えられています。つまり、以前に口を無理やり開けて入れられたこと、投薬器に口を傷つけられたこと、また薬の味自体が嫌だったことなどが原因で、次の投薬の時に以前の苦痛や痛みを思い出すんです。
よだれが出てくると錠剤であっても薬がとけてしまい、味を感じるようになります。この場合、ほとんどの薬は苦いのでそれに反応するのです。こうなると猫はよだれを意地でも飲み込まなくなるためカニのような“泡ぶくぶく”状態になってしまうわけです。
一度こういう状態になってしまうと、次に投薬する前からよだれが大量に出るようになり、ますます投薬困難になってしまいます。
そのため、はじめから猫にやさしい薬剤、剤型、投薬方法を選択しなければなりません。
その2~薬のいろいろ~
まず一番病院で処方されやすいものから説明します。
錠剤:薬の量を一番正確に飲ませることができます。比較的短時間で飲ませられますが、怒る猫の場合は、飼い主さんがかまれるという欠点があります。
錠剤には、「糖衣錠」という、中身が苦いため外側を糖でコーティングしてあるものや「腸溶剤」などがあります。
液剤:投与量を調整しやすいというメリットがあります。シロップであることが多く、甘みのきらいな猫の場合、かえってよだれが出て投与量が不正確になってしまいます。
粉剤:こちらも投与量を調整しやすい薬です。ただ、水やシロップに混ぜて与えたり、練り物に混ぜた場合も味がばれやすく嫌がることもあります。ウェットフードに混ぜても食べないことも多いので、錠剤を粉にする場合は、まずどのような薬かを獣医師に確認しましょう。
カプセル剤:苦みや刺激を感じにくく、うまく飲み込めれば嫌がらずできます。ただし、一度失敗するとカプセルがべたついたり、溶けてしますので再度の投与がしにくくなります。
最近では猫の投薬が上手くいくように味や剤形が工夫されたものも出てきていますが、やはりお口をあけてぽんっと入れられるとお互いのストレスが最小限になります。日頃から口をあけたり、口元に触ったりして、いざ投薬という時のために慣れさせておくことも大切です。