具体的には高速直進安定性、山道での安定感、走りの気持ち良さで大きく上回る。ほぼ唯一、1.2Lターボモデルに分があるのは、ロードノイズ主体の静粛性の高さである。もちろん、そうした最新性能を求めず、現代のかぶと虫の雰囲気を楽しむことが第一で、スローライフのためにビートルを選ぶのであれば、1.2Lモデルを選択してもまったく問題ないとも言える。
では、新型らしい1.2LターボのThe Beetle DesignとR Lineの価格差を見ると24万6000円だ。見た目、決して小さくない差だが、鵜呑みにしてはいけない。
R LINEには1.2LターボモデルではOPの車線変更時に斜め後の死角からくるクルマを検知し、教えてくれるブラインドスポットディテクション、後退時の警告、衝突軽減ブレーキ機能のリヤトラフィックアラート、2ゾーンフルオートエアコン、タイヤ空気圧警告灯、1.2Lターボモデルでは選択できないアイドリングストップ、ブレーキエネルギー回生システム、前後パークディスタンスコントロールのほか、R Line専用インテリア&エクステリア、クロームパッケージなどが備わり、なおかつモード燃費は1.2Lモデルよりいいのだから、実質的な価格差はドーンと縮まる。
The BeetleはMQBプラットフォーム以前のモデルだけに、インフォメーションがすべて英語表記だったりと、やや古さを感じさせる部分はあるにせよ、どう考えてもR Lineが買い得なんですね。
The Beetleを雰囲気で乗るか、性能や走りの質、安全装備、燃費性能で選ぶか? 悩ましくもあるけれど、長く乗るのであれば、答えはおのずから決まってくると思うんですが。
文/青山尚暉
モータージャーナリスト 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。