今回試乗した、後席、ラゲッジに愛犬を乗せやすいドッグフレンドリーカーでもあるパサートヴァリアントR-Lineの走りは1.4Lモデル比+50kgのボディを軽々と発進させる。ゴルフGTI譲りのエンジンは平穏にしつけられてはいても、素晴らしくトルキーで、加速感は軽快至極。スルスル速い爽やかな動力性能を発揮してくれる。
R-Line専用の超偏平19インチタイヤ&ホイールを履いた乗り心地は、ある意味拍子抜けするほど軽やかかつフラットなもの。少々荒れた路面でも(鋭利な突起の乗り越えでのショックはともかく)快適そのもの。1.4Lモデル同様に、VWの中でもっとも平和で静粛な室内空間も確保されている。
パサートヴァリアントR-Lineの19インチタイヤ&ホイール
ただ、パワステの操舵フィールもまたVWとしてかなり軽い設定。全体的な走りの軽やかさが際立つかわりに、ドイツの上級車らしいしっとりとした重厚な乗り味は感じにくい。拍子抜けしたのはそのあたりで、ゴルフより”軽い”感じがするのである。往年のドイツ車乗りなら、まるで日本車みたいだ・・・と思えるかもしれない。
もちろんそれは市街地走行や高速クルージングでの話。その軽さ感は積極的な走りのシーンではじつにいい方向に作用する。山道を飛ばせば、ゴルフクラスに迫るひらりひらりとした軽やかな身のこなし、フットワークテイストの気持ち良さ、路面に張り付くような安定感の高さにに満足できるはずである。
でもだ。ナビやレザーシートが標準だとしても、519.9万円はVWパサートとしてちょっと高くはないか。ドイツDセグメント四天王のCクラス、3シリーズ、A4に対して圧倒的な割安感があるのが、これまでもこれからもVWパサートの魅力ではないのか。