■目からうろこ!ベストセラー「ケロン」の正しい建て方
ペトラといえば、幼い頃に「大人になったらお父さんのテントを売るの!」と宣言した逸話が、ユーザーの間ではあまりに有名。4歳で自宅そばの森にひとりでテントに泊まり、朝ごはんを食べた後に自宅に戻ったのが最初のソロ・トリップという彼女にとって、テント作りは彼女の人生そのもの。CEOとなった今も「テントは自分の子どもみたいなもの」とテント愛は不変で、イベントでもユーザーとの交流を楽しみつつ、テントの機能性を十分発揮させる正しい建て方の指導に余念がなかった。
かまぼこ形、トンネル型と言われる円柱を半分に割った形の「ケロン」は、同社の象徴とも言えるテント。日本でも人気が高く、この日も使用している人が多かったのだが、ペトラに言わせれば「建て方が違う」。
ショップでも雑誌でも、ガイライン(張り綱)はテンションをかけてテントの生地をピンと張ることがよいとしているが、同社のかまぼこ形テントに限ってはテンションをかけすぎるとダメなのだとか。
ヒルバーグのテントは多くの山岳ガイドやライターから「創業者、ボーの哲学を感じるテント」と評される。現在も同社のテントはボーが設計・デザインしているそうだが、各キャンプサイトを巡り、ひとつずつ指導している姿を見ると、ペトラにも確実にその哲学は受け継がれていることがわかる。
前方のガイラインをペグでとめたら、後ろ側の裾にある2本のリングにペグを通した状態で後ろに引っ張る。このままペグで固定すれば、テントが左右にゆがむことなくまっすぐに建つというわけだ
ケロンやカイタムなどヒルバーグのかまぼこ形テントの場合、フレームを収めるプラスチック・カップに付いているウェビング・ストラップを引っ張ることでフレームはちょうどいい弧を描き(写真では後ろの2本のフレーム)、風などの衝撃を吸収する。けれど、手前のフレームのようにガイラインを張りすぎると、天井部分が平らになって、上から強い風で押されるとフレームが折れる危険があるのだ。ただし、フレームに影響を与えない前後のガイラインはしっかりテンションをかけて、生地のシワを取り除く必要がある
ガイラインは長いほどテントの防風性が高くなるので、なるべく長く使うのがポイント。ペグは「はだしで踏んでも痛くない」ほど、しっかり地面にいれる。これがヒルバーグ家の教えだそうだ。石混じりで硬い地面の場合は、なるべくペグを斜めに倒せばいいのだとか。ちなみに、付属のV型ペグは、山を上にしても下にしてもどちらでもいいそう。