●ツイーター
『BW-166』を鳴らした第一印象は、音離れが良くて抜けがいい、カラッと明るい音色のスピーカーである。確かに低音の量感もある。調子に乗ってボリュームを上げると中域の解像度が低下する。さらに上げると低域の解像度も下がり、最後は音が飽和してしまう。フルレンジスピーカーの限界なのかもしれない。そこで『TW-FT17H』(4500円税込)を使って、FOSTX『FT17H』というホーン型ツイーターを追加する。コレで高域は35kHzまで伸びる。最近のツイーターはドーム型主流でソフトドームかハードドームかの違いぐらいだが、『FT17H』は往年のJBLやアルティックを思わせるコンプレッションドライバーを採用、96dBという高能率のツイーターである。正相接続と逆相接続を試すと拙宅では逆相の方がボーカルの音像が小さくなったので逆相接続で試聴している。
まず、分かることはボーカルの音像定位がツイーターの高さまで上がること。中域から高域にかけての解像度が上がって、高域がなめらかになった。比較試聴するとフルレンジの高域は硬質でやや粗い感じがする。中音量以上で鳴らすと非常に抜けがいい音になる。これぞ、バックロードホーンという音を実感できる。音離れがよく、前に音が出てくるタイプだ。SHANTI「BORON TO SING/Killing me Softly With His Song」(96kHz/24bit)は音像定位が非常にシャープでクリアー。ボーカルは若々しく明るい感じ。低域はスピーカー全体から出てくる。Yuji Ohno & Lupintic Five with Friends「BUONO!! BUONO!!/THEME FROM LUPIN III 2015〜ITALIAN BLUE ver」(48kHz/24bit)ではベースの胴鳴りが箱鳴りで再現された。こちらはなめらかというより、ハッキリとした音で一音一音が整理された感じだ。
ツイーターは逆相で接続してフロントバッフルよりも少し下げた位置が良かった
■研究結果
いろいろやってみた結果、最も効果があるのはツイーターをプラスすること。そして2番目はスピーカー後方下部にある空間に鉛粒か砂などの重石を入れること。これで箱鳴りが抑えられる。インシューレーターも効果がある。16cmフルレンジで重低音が出るかどうかという疑問に関しては、重低音は再生できると回答したい。特にツイーターを追加した場合は明るいキャラクターで音像定位のしっかりとしたフルレンジらしい音場感に加えてバスレフよりもタイトでスピード感のある中低域が楽しめる。
今回使ったユニット『FE166En』は1本9500円というハイコスパモデルで、ハイレゾの情報量を余さず再現できるとは言い難い。できれば同じFOSTXのEΣ Seriesを使いたいところだが、『FE168EΣ』の指定バッフル開口部はφ151mmなので『BW-166』にそのまま取り付けられないのが残念だ。ツイーターに関しても『TW-FT17H』はホーン固有のキャラクターがあり、もう少し柔らかい音を目指すならFOSTXの上位モデルか、別のメーカーのツイーターを選んだ方がいいだろう。
BareHorn『BW-166』のバックロードホーンは全く箱鳴りしない低音ではなく、やや箱も鳴らしつつ量感を出すタイプだ。それが嫌なら制作時にデッドニングをほどこすなどの対策が必要だ。そのまま作れば開放的で明るい音色のスピーカーになる。メーカー製の2Wayバスレフトールボーイはハイレゾ音源を生かす情報量豊かで緻密な音場再現を目指しているが、『BW-166』は歯切れ良く音が前に出るタイプで全く異なる方向性のスピーカーである。まさに自作でしか得られない音だ。今まで、10cmフルレンジで小さなバックロードホーンばかり作ってきたので、バックロードと言ってもそんなに低音は出ないなという認識だったが、大型のキットを作ってその認識が間違っていたことを実感した。密閉型やバスレフ型であればメーカー製があるのでキットを作る必然性はないが、本格的なバックロードホーンを聴きたいなら作るしかない。自作の敷居は高かったがBareHornの登場によって、その敷居がかなり下げられたのだ。
●大容量バックロードなら100Hz以下も出せる
●バックロードの低域は開放的で量感もある
●フルレンジはツイーターを追加して使いたい
●バックロードはユニットの音を正確に反映する