■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ
もう何十年もスキーやキャンプ、カヤックなどアウトドアで遊んできたけれども、いつも不安をひとつ抱えてきた。
「クルマのキーを失くしはしないだろうか?」
もちろん、ロッカーなどにしまったり、セーフティーボックスに預けられる場合は心配は要らない。問題は、クルマを停めたところから直接にフィールドに出かける場合だ。広いゲレンデや雪山に落としてしまったら、探し出すのは難しい。川や海に落としてしまったら、絶望的だ。仮に水中から拾い上げることができたとしても、最近のクルマはほぼすべて電子キーだからショートしてしまって開錠できないだろう。
苦肉の策として、スペアキーをタイヤハウス内に工夫して誰かから見えないように隠しておいたりしたこともあった。カーアクセサリーショップでは、そうした需要に応えたマッチ箱サイズのプラスチック製の箱を売っていた。強力な磁石が組み合わされていて、タイヤハウス内側に貼り付けるのである。僕もそれを購入して一時期使っていたことがある。でも、不安は解消されないどころか、むしろ増大していった。
「カーアクセサリーショップで売っているくらいなのだから、少しは世の中に知られている。クルマ泥棒や車上荒らしも知っている可能性も小さくはない。キーを盗んで下さいと言っているようなものだ」
そう案じ始めると、気が気じゃなくなってくる。
「キーを失くす可能性と、あの箱の存在を知っているクルマ泥棒や車上荒らしに遭遇する危険性のどちらが高いのか? 心配しながら遊んでいるくらいだったら、身に付けていた方がいい」
そう考え直して、箱を使うのを止めてしまった。最近では止むを得ずフィールドや船の上にキーを持参しなければならない場合は防水ケースに入れている。ジャガー初のSUV『F-PACE』のアクティビティーキーは僕の不安を一掃してくれている。通常のキーの他に、完全防水のリストバンドの中に内蔵したキーも付属しているのだ。
画像のように、海や川で濡れても、テールゲートのジャガーのエンブレムの“J”の字に触れるだけで開錠と施錠ができる。通常のキーを車内に忘れてしまっても、アクティビティーキーで開錠しない限りエンジンは掛からないから安心だ。