■直流安定化電源KENWOOD『PA18-3A』
最後に実験用の直流安定化電源の音を聴いてみよう。大型トランスを使ったシリーズレギュレート方式の電源で、リップル、ノイズが少なく安定度に優れている。出力ノイズは0.5mV、出力は18V/3Aまで、重さ5.6kg。ヤフオクで見つけたのだが、同じ性能の現行製品なら5万5000円相当の高級機である。
SHANTI「BORON TO SING/Killing me Softly With His Song」(96kHz/24bit)のボーカルのS/N感がいい。耳元でささやくように鮮明に聞こえる。情報量も多く、低域のドライブ感もある。音色は明るく「BUONO!! BUONO!!」もノリがいい演奏で、音に厚みがある。予想ではオーディオ専用電源の方がいいと思ったのだが、こちらの方が音がいいという予想外の結果になった。やはり電源トランスと電解コンデンサーは大きい方がいいのだろうか。
中古で手に入れた安定化電源。0.01V単位で電圧の変更もできる。ズシリと重い5.6kg
■iFI『iPurifier DC』の効果も体験した
それでは最後にiFI『iPurifier DC』の効果を試してみよう。まず、拙宅にあった12V/1.5Aの中華製DCアダプターを電源にする。実勢価格数百円と思われるだけあり、その音は画期的に悪い。情報量が少なく、低域の解像度が極端に悪化。S/N感も悪く、平面的でボーカルはザラザラするが、高域は伸びている。
『iPurifier DC』を接続すると、S/N感が良くなり、音にメリハリが出て来た。全体的な解像度は低い。ボーカルのザラザラした感じは高域でやや改善された。やっぱり元の電源がダメだと画期的な改善は無理なのだ。ではJS PC Audio『PFS1-12』ではどうなるのか、S/N感が向上してボーカルが伸び伸びと歌う。AudioDesign『DCA-12V』に使うとボーカルがなめらかになり高域の透明感がさらに上がった。本機はノイズが少ないはずなのだが、S/N感も向上した。安定化電源に使うと重心の下がった音になり、S/N感は他のどの電源と比較しても一番良かった。
引き出しの中から探した12V/1AタイプのDCアダプター。秋葉に行けば数百円で買えそうな品物だ
iFI『iPurifier DC』は副作用ナシでS/N感が向上すると評判のアクセサリー。変換ケーブルも付属しているので、だいたいの製品にすぐ接続できるだろう