まだまだ続く花粉シーズン。くしゃみや鼻水、目のかゆみなどに悩まされている人は多いのではないだろうか。花粉症対策は、治療のほかにも、自ら生活の工夫で実践することもできる。中でも食生活で花粉症予防や対策をするのは一つのトレンドにもなっている。今回は、栄養士の方に、花粉症にいい食材・控えたほうがいい食材を教えてもらった。それぞれの機能にも注目だ。
■納豆、トマト、ニンニク、魚など 花粉症にいい食材や栄養素はこれ!
最近では「乳酸菌」が花粉症予防にいいことなどが話題になり、こぞってヨーグルトを食べるなど、新たな動きが見られた。そこで、昔からいわれているものから最新のものまで、数ある栄養素の中でも、特に注目の花粉症予防にいい食材や栄養素を栄養士の池上淳子さんに教えてもらった。
◎発酵食品
「ヨーグルト、納豆、味噌、甘糀、ぬか漬け、酒粕などの『発酵食品』は、腸内にいる細菌バランスを改善して、腸の粘膜を健康な状態にし、免疫力を高め、花粉症(アレルギー)の症状を抑える効果があるとされています。花粉症やその他のアレルギー症状のある人は、毎日、積極的に食べてほしい食品といえます。
ヨーグルトに含まれる『乳酸菌』は、花粉症の原因であるIgE抗体の産生を抑制する作用もあることから、花粉症に有効とされています」
◎ポリフェノール
「ポリフェノールには、抗酸化物質があり、毛細血管の強化や保護に有効で、活性酸素を抑制し血流を改善してくれます。また花粉症・アレルギーの原因といわれるヒスタミンなどの放出が抑制され、症状の緩和が期待されます。ポリフェノールが豊富に含まれている食べ物は、野菜や果物です。また野菜や果物はポリフェノールだけでなく、免疫機能を高めてくれるビタミンやミネラル、腸内環境を整えてくれる食物繊維が豊富に含まれますので、積極的に食べましょう」
◎トマト
「トマトの果皮部分に含まれている成分『ナリンゲニンカルコン※1』には、抗酸化作用や炎症の鎮静作用などがあり、花粉症の症状改善に効果が期待できます※2。トマトの加工品の多くは果皮を剥く処理がされているので、効果は期待しにくいです。そのまま食べたり、丸ごと使った調理で摂るとよいでしょう。
また、トマトの赤い成分『リコピン』も、花粉症の症状改善に効果があるといわれています。ある研究結果では花粉症の症状を有するヒトがトマトジュース(約200cc)を12週間継続的に摂取し、花粉症の自覚症状(鼻水、くしゃみ、目鼻のかゆみとなど)に関するスコアが改善することが確認されています」
※1 トマトの品種により「ナリンゲニンカルコン」の含有は異なる。
※2 まれに果物過敏症(食物アレルギー症状/口腔アレルギー症候群)を併発する場合もあるので、花粉症に効果的とはいえ、摂取する際は注意が必要。
◎ニンニク・ニラ
「ニンニクやニラに含まれている『アリシン』が免疫細胞である『NK細胞』を活性化し、アレルギー性の過剰な免疫反応が抑制され、IgE抗体の産出を抑制してくれます。その結果、花粉症の症状の緩和が期待できます」
◎EPA・DHA
「魚に含まれる油のEPA・DHAには、抗炎症、抗アレルギー作用があります。積極的に魚を摂るように心がけましょう。魚を食べる機会が少なければ、α-リノレン酸の豊富な亜麻仁油やエゴマ油を摂りましょう。体内でEPA・DHAに変わります」
◎梅
「アレルギー症状を抑える市販薬には、ヒスタミンの働きを抑える、抗ヒスタミン剤が使用されています。梅は抗ヒスタミン剤と同じような働きを体内でしてくれます。動物実験によるヒスタミン抑制率は、抗ヒスタミン剤が87.9%で、梅肉エキスが57.3%でした。梅肉エキスは食品で、薬と違って副作用の心配がありませんので安心して摂取でき、効果が期待できます」