ふとした瞬間に気になる髪の生え際の後退や抜け毛。
若年性の脱毛症ではないかと不安になるものだが、原因は複数あるため、適切な対処が必要だ。また日頃のケアも大切だ。特に夏の紫外線の影響を受けたばかりの秋口には、髪や頭皮を守る意識が必要になる。
若年性脱毛症の兆候や原因、普段の生活からできるケア方法について専門医に聞いた。
これって若年性の脱毛症? よくある兆候
鏡で自分の髪を見て「あれ?薄くなった?」と思うことがあると不安になるものだ。

1994年三重大学医学部卒業後、脳神経外科医を経て2009年に湘南美容クリニックへ入職。長年AGA・薄毛治療に従事。日本美容外科学会専門医(JSAS)などの資格を持ち、自毛植毛をはじめとする毛髪医療の論文・学会発表も継続的に行なっている。
https://www.sbc-aga.jp/clinic/branch/agashinjuku/
湘南AGAクリニックで新宿本院 院長を務める斎藤浩一医師は、若年性脱毛症のよくある兆候について、次のように述べる。
「若年性脱毛症は、日常の中で感じる髪の変化から気付くことがあります。例えば『洗髪時や枕に付く抜け毛が以前より増えた』『髪のボリュームが減り、地肌が透けて見えるようになった』といったものです。
若年性脱毛症の主な原因として、ストレスなどに伴う抜け毛のほか、AGA(男性型脱毛症)が考えられます。
ストレスなどに伴う抜け毛では、頭部全体の毛が抜けることもあります。AGA(男性型脱毛症)では、生え際が徐々に後退したり、頭頂部の髪が細く短くなったりする傾向があります。
ただし、抜け毛は健康な方にも生じるため、一日の本数だけで判断する必要はありません。同じ照明や角度で撮影した写真を見比べると、変化を把握しやすくなります。
抜け毛の増加が続く、急に地肌が目立つ、一部分だけ、まとまって抜けるなどの変化があれば、自己判断せず、皮膚科や薄毛を診療する医療機関にご相談ください」
「ストレス性」と「AGA」の違い
若年性脱毛症の「ストレス性」と「AGA」にはどんな違いがあるのか。
「主な違いは、原因と薄毛の進み方にあります。
ストレス性では、強いストレスや発熱、急激な減量などをきっかけに髪の成長周期が変化し、数カ月後に頭部全体の抜け毛が増える『休止期脱毛』が起こるケースがあります。
原因が解消されると改善する場合もありますが、回復には時間がかかります。
一方、AGAは遺伝的な要因や男性ホルモンの働きが関わり、生え際や頭頂部を中心に髪が細く短くなり、徐々に薄毛が進行するのが特徴です。生活習慣を整えるだけでは、進行を十分に抑えられないこともあります。
ただし『ストレス性』は正式な診断名ではありません。
またAGAと一般的な抜け毛が重なる場合もあります。そのため、ストレスの自覚や見た目だけで区別せず、経過や頭皮の状態から原因を確認することが大切です」
秋に注意したい生活習慣
秋口は、夏の髪や頭皮への紫外線ダメージを受けて手間もないため、抜け毛が気になりやすい時期だ。そこで秋に注意したい抜け毛予防の生活習慣について斎藤医師に教えてもらった。
「紫外線は、髪の表面にダメージを与えて乾燥や切れ毛を引き起こすほか、頭皮の日焼けによる炎症が、抜け毛につながる可能性もあります。
ただし、秋の抜け毛は夏の紫外線だけが原因ではなく、季節による毛周期の変化や生活習慣など、複数の要因が関係します。十分な睡眠やバランスのよい食事、やさしく洗髪して頭皮を清潔に保つことが、ケアの基本です。
秋口に抜け毛が気になったら、まずは食事や睡眠など、日々の生活を見直してみましょう。
食事では、肉・魚・卵・大豆製品などからたんぱく質を取り、鉄などの栄養素も不足しないよう、偏りなく食べることが大切です。急激な減量や極端な食事制限は、抜け毛のきっかけになるため避けてください。
また髪のためにとサプリメントを過剰に摂ることもおすすめできません。
就寝・起床時間をなるべくそろえ、十分な睡眠を確保し、散歩や軽い運動など、無理なく気分転換できる時間も設けましょう。
紫外線への対策としては、帽子や日傘を使い、頭皮への直射日光を避けることも大切です。日焼けで赤みやヒリつきがある場合は、冷たいタオルなどでやさしく冷やし、強くこすったり、頭皮マッサージをしたりすることは控えてください。
抜け毛が続く場合は、紫外線の影響と思い込まず、AGAなどほかの原因がないか、医療機関で確認することをおすすめします」
「脱毛症かも?」と思ったら実践したい日頃のスカルプケア
脱毛症かもしれない、と不安に思ったら、その程度に応じて医療機関を受診するのが基本だ。
一方、多少の抜け毛などの場合は、日頃のスカルプケアを意識するのも良いだろう。正しい方法を教えてもらった。
「スカルプケアでは、頭皮を清潔に保ちながら、刺激を与え過ぎないことが基本です。
シャンプーは頭皮に合うものを選び、爪を立てず、指の腹でやさしく洗い、十分にすすいでください。皮脂はある程度残すほうが良いため、何度も洗ったり、強くこすったりする必要はありません。
洗髪後はタオルでやさしく水分を取り、ドライヤーは低めの温度で、一カ所に熱を当て続けないようにしましょう。
髪を強く引っ張る髪型や、刺激を感じるカラー・パーマも見直すことが大切です。赤みやかゆみ、フケが続く場合は、製品を増やす前に医師へ相談してください。
なお、シャンプーや頭皮マッサージだけでAGAの進行を抑えることは難しいため、薄毛の変化が続く場合は、日常のケアと併せて診察を受けましょう。
忙しい方はオンライン診療も一つの選択肢です。ただし症状によっては対面診療が必要となる場合があります」
スマートフォンやパソコンからオンラインで医師の診察を受け、医師の判断に応じて治療薬の処方を受けることができるサービスとして、例えば「アイメッド」というサイトがある。気になる場合は、まずこのようなサービスを利用して、オンラインで相談してみるのも良いだろう。
この秋、抜け毛や薄毛が気になり始めたら、日頃の髪や頭皮へのいたわりから見直してみると良さそうだ。
【参考】
アイメッド
取材・文/石原亜香利
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