戦争の長期化や各国の政治不信や分断で、世界情勢に不安を感じる人は多いはずだ。90の市場で事業を展開する世論調査会社のイプソスは、世界38か国・地域を対象に価値観調査『イプソス グローバルトレンド』第10版を発表したが、それによれば今後12か月間に「自分と家族」、「自国」、「世界」のそれぞれに楽観的と答えた人の割合を合計した「楽観指数」で日本は53だった。これはフランスと並んで38か国・地域中もっとも低い数字で、首位のサウジアラビア(215)、上位のインド(185)や中国(184)とは大きな差があったという。
世界の状況に楽観的なのは約4分の1
世界全体では、世界の状況に楽観的な人は25%で、自国については36%という結果になった。一方で自分と家族については55%が楽観的と回答している。社会や制度に対する期待は弱まっているが、自分の暮らしには希望を見出そうとしているようだ。そのほかの価値観については、次のような傾向があったという。
メンタルとフィジカルの健康は、ほぼ同等の関心事になっているが、8割以上の人が心と体の両方で「もっとケアする必要がある」と感じていた。診断技術や医薬品、ヘルステックの進歩で、健康は単に測定・管理するものではなく、テクノロジーによって働きかけて最適化するものと考えられ始めている。テクノロジーへの期待では、AIは全体としては好意的に受け止められているが、普及の鍵を握る国や年齢層の多くで期待感は弱まっていた。57%が「技術の進歩が私たちの生活を壊している」と回答しており、技術の進歩がそのまま社会の進歩につながっているか考えている人が多いようだ。
世界のマクロ的な要因と個人の相互作用が浮き彫りに
楽観の対象が世界から個人へ移行して、人々は自己研鑽やステータス、達成、自らの主体性への投資を強めているという。半数近くが「自分の成功を所有物で測る」と回答しており、多くの国で伝統的な成功の物差しが重視されている。この調査についてイプソスCEOのKelly Beaver氏は、次のように コメントしている。「イプソスでは、人々を理解することが常に私たちの活動の中心にあります。10年以上にわたり『イプソス グローバルトレンド』は、深い社会理解と確固たるエビデンスを組み合わせることで、組織が不確実性を乗り越え、今後の展開を予測できるよう支援してきました。多くの国で2013年まで遡って人々の意識や価値観を追跡できる、業界屈指のトレンドデータベースを基盤としています。
今年の調査結果で特に注目すべきは、地政学的緊張や気候変動、技術の進歩といったマクロ的な要因と、人々の日常的な適応との相互作用が浮き彫りになった点です。不確実性は依然として私たちの時代を特徴づける要素ですが、人間の回復力、創意工夫、そして適応力が、新たな可能性を生み出し続けています」
世界に対する楽観よりも自分自身の将来の楽観が高いというのは、ある意味で内向き志向といえそうだ。イプソスによれば、多くの市場で従来の成功の指標は、今後ますます重要になるという。政治やブランドは、将来の成功を楽観視できるように、その理由や道筋を示すことが大切なのかもしれない。
「『イプソス グローバルトレンド』第10版」調査概要
調査対象:日本を含む世界38か国・地域、計2万9542人の成人で、インドは18歳以上、カナダ・香港・アイルランド・イスラエル・マレーシア・ニュージーランド・南アフリカ・トルコ・米国は18歳~74歳、タイは20歳~74歳、インドネシア・シンガポールは21歳~74歳、そのほかの国は16歳~74歳
実施日:2026年5月22日~2026年6月5日
調査方法:イプソス グローバルアドバイザー調査プラットフォーム
調査機関:イプソス
構成/KUMU




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