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まもなく70歳まで働く時代へ、企業が従業員に期待する〝活躍年齢〟は67.9歳

2026.11.06

働き方が多様化し、働く期間が長くなりつつあるなか、企業は従業員にいつまで活躍してほしいと考えているのだろうか。「定年」の年齢だけでは測れない、企業側の本音が気になるところだ。

そこで帝国データバンクは、全国1,289社を対象に、従業員に活躍してほしいと思う年齢のほか、現在の従業員における最高齢についてアンケートを行ったので、結果を紹介しよう。

従業員に活躍してほしい年齢は67.9歳 小規模な企業ほど年齢高く

自社の従業員に何歳ごろまで活躍してほしいと思うか尋ねたところ、全体の平均は67.9歳だった。

企業からは、「働ける方は健康であれば75歳までは働いてほしい」(運輸・倉庫、埼玉県)や「人生100年時代に、70歳ぐらいまでは活躍してほしい」(情報サービス、福岡県)といった声が聞かれた。

規模別にみると、「小規模企業」が68.3歳、「中小企業」が68.1歳、「大企業」が66.8歳となり、企業規模が小さくなるにつれて平均年齢は高くなっている。

企業からは、「中小企業にせっかく入社してくれたのだから、長く勤務してほしいと考える」(電気機械製造、長野県)や「中小企業には新しい人材が入りにくく、昔からの人材を活用していくしかない」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売、長野県)といった声があがっていた。

業界別では、『農・林・水産』が70.1歳で唯一70歳を超え、『運輸・倉庫』(68.6歳)、『サービス』(68.5歳)と続く。一方で、『建設』は67.4歳と全業種のなかで一番低かった。

企業からは、「昨今の気候等で夏の作業は過酷だが、担い手不足もあり65歳までは現場で頑張ってほしい」(建設、兵庫県)や「大手ゼネコンでは、高齢者の場合、現場に入ることを制約されるので60歳以上は難しい」(建設、兵庫県)との意見も聞かれ、夏場は高温での作業となり、農・林・水産業と異なり落ち着く時期もなく、体力が求められる。

さらに、ゼネコンなどでは独自の安全基準を設けるほか、2026年4月からは労働安全衛生法改正により高年齢労働者の労働災害防止対策が努力義務化され、安全面を考慮して高齢になるほど活躍しづらくなる。

さらに、「正社員不足で、若手がおらず、技術の伝承が芳しくない」(機械・器具卸売、愛知県)や、「人員確保に苦慮しており経験者にいてもらう方が安心」(建設、岩手県)というように、人手不足により長く働いてほしいとの声がみられた。

また、「若手採用が厳しいなか、経験値が高い従業員は貴重」(鉄鋼・非鉄・鉱業、埼玉県)や「求人を出しても雇用確保が難しい。資格や経験が必要な業務であり、若い世代を育てるためにも長く勤めてほしい」(メンテナンス・警備・検査、北海道)と、人材募集を行っても応募が少なく、既存の従業員の継続的な勤務に依存する企業もあった。

業務に精通したベテラン従業員の重要性を感じており、健康である限り活躍してほしいと願う企業がある一方で、求人を出しても集まらない企業や若手人材が定着しない企業などでは人手不足を背景として、できるだけ長く活躍し続けてほしいという意見が寄せられた。

最高齢は91歳、定年は従業員との話し合い

自社における現在の従業員の最高齢を尋ねたところ、平均は68.3歳となり、個別企業の最高齢は91歳という結果に。

年齢分布でみると、「65~69歳」が26.0%で最も多く、「70~74歳」(24.9%)、「60~64歳」(15.6%)が続いた。業界別にみると、『運輸・倉庫』が70.5歳で最も高く、『製造』(70.1歳)の2業界で70歳以上となっている。

企業からは、「正社員は65歳からパート社員として契約ができ、70歳まで働けるように社内規則で策定している」(その他サービス、愛知県)のように定年制度がある一方で、「定年という制度は元からないので、本人の申告により退社となる」(建設、岩手県)や「年齢で決めず、働ける部門があれば働いてもらう。労働条件等、本人と話し合いをするなかで決めている」(化学品製造、神奈川県)といった、定年を定めていない企業もみられた。

まとめ:企業には従業員が長く活躍できる環境づくりが求められる

自社の従業員に何歳ごろまで活躍してほしいと思うかを尋ねた本アンケートの結果は、平均で67.9歳となり、中央値は70歳であった。

また、企業規模が小さいほど、人材確保や後継者育成に苦慮している理由で、平均年齢が高くなる傾向がみられる。なお、現在の従業員における最高齢の平均は68.3歳で、個別企業の最高齢は91歳だった。

企業が定年制を設ける場合はその年齢を60歳以上とする必要があり、65歳までの雇用確保措置が義務付けられている。

今回の結果で、雇用確保措置の年齢を3歳ほど上回り、企業は従業員に70歳近くまで活躍することを期待していることがうかがえた。

「体力を使う業務は限りがあるが、経験を生かして後輩を指導することはできるので、長く勤めていただけるとありがたい」(飲食料品卸売、愛知県)のように、企業は長く働く従業員を求めることが多く、高年齢の従業員には健康である限り、若手の指導や経験を生かした業務を続けてくれることを望んでいる。

同時に多くの企業では人手が不足しており、活躍できる人材はなるべく長く雇用したい。そうしたときに、企業は長く働ける・働きたいと従業員が思う環境づくりが重要となる。

今後も従業員に期待する「活躍年齢」は上昇するとともに、企業と従業員が希望する“定年”も上がっていくだろう。

■企業からの声

・積み重ねたキャリアを生かせる仕事をしてほしい(不動産、[活躍年齢]70歳)

・経験に基づいた仕事・技術・知識の伝承も含め健康であれば活躍してほしい(化学品製造、65歳)

・若手の人材がなかなか集まらず、順調ではないので、少しずつ引き継ぎながら頑張ってもらいたい(その他サービス、70歳)

・引き継ぎや技術承継が進んでおらず、70歳を超えても辞められないのが現状。採用が進まないため、再雇用の方々の協力が不可欠(メンテナンス・警備・検査、65歳)

・積極的に高齢者の雇用をしている。経験豊富であることが強みで、仕事に対しての向き合い方も断然違う(飲食店、70歳)

・長く働いてもらえるのはありがたいが、部署や従事する業務内容によっては60歳を超えたあたりから厳しくなる職種もある。中小企業では業務量を減らしたり配置転換したりするのが難しい(家具類小売、70歳)

・健康寿命が延びているので、健康状態も含めて問題がなければ続けてほしい(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売、68歳)

・作業内容などを考えてあげれば、まだまだ働けそうな年齢でも、体力的に72~73歳が限界かもしれない(建設、70歳)

・社長の年齢と同じ年齢までは働いてほしい(その他の卸売、72歳)

・働けるうちは働いてほしい。体力的にもメンタル的にも仕事を続けて元気な時間を過ごしてほしい(メンテナンス・警備・検査、75歳)

・定年制を廃止した。働けなくなったときが定年(建設、85歳)

調査概要
調査期間:2026年9月4日~9月8日(インターネット調査)
有効回答企業:1,289社

関連情報
https://www.tdb.co.jp/

構成/Ara

昭和63年生まれ。最新のトレンドを横断的に紹介するオールラウンド系ライター。編集プロダクションでの書籍制作や、男性向け美容・健康WEBマガジンでのライター経験を経て、現在は最新ファッションアイテムを中心に執筆活動を展開中。

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