もうすぐ年末調整の季節だ。年末調整で見落としがちな書いてもよいもの、年末調整では申告できないものを紹介する。
年末調整で税金が減る!
会社は、毎月給与から源泉徴収して所得税を概算金額で徴収している。年末調整は、その概算の所得税を正しく計算しなおし、過不足の場合は過不足分を支払い、納めすぎている場合は還付する手続きをいう。
年末調整では、税金を正確に計算し直すために、扶養する家族を申告したり、控除の対象となる保険料などを申告したりすることができる。
特に、控除の対象となる保険料は、申告漏れがあると、減らすことができた税金をみすみす逃すことになるから、申告できるものはできるだけ申告したい。
年末調整で書いてもOKな意外なものは?
年末調整で見落とされがちな、書いてもよいものは以下のものだ。
(1)家族分の社会保険料
(2)海外にいる家族
(3)障害者手帳を受け取っていない者で障害者控除を受ける
年末調整で書いてよい意外なものの1つ目は、家族の分の社会保険料だ。
生計を一にする配偶者、その他の親族で、社会保険料を支払った場合は、年末調整で社会保険料控除の対象とすることができる。
社会保険料とは、国民年金保険料、健康保険料、介護保険料などだが、会社員である場合、扶養していれば配偶者自身の社会保険料を支払うことはない。
配偶者が勤務先の社会保険に加入している場合は、給与天引きで支払った社会保険料は対象とすることはできないことから、家族の分の社会保険料を入力する機会は多くない。
しかしながら、配偶者が学生特例納付制度で国民年金保険料の支払いを在学中猶予していて、遡って支払った場合や、子どもが学生で国民年金保険料を代わりに支払った場合など、家族分の社会保険料を控除の対象とできる。
生計が一つであれば扶養しているしていない関係なく、納税者の社会保険料控除に入れることができる。一方で、年金を受給している配偶者が年金から徴収された社会保険料は、支払者が明らかに配偶者自身となるため控除の対象とすることができない。
2つ目は、非居住者となった家族を扶養控除等申告書に書いてよい。
非居住者とは、海外に留学等して、国内に住所のない者をいう。子どもだけでなく、配偶者や親など親族であり、仕送り等をしていれば、非居住者になっていても、扶養控除等申告書に書いてよい。
その際には、勤務先に、戸籍の附票の写し、非居住者のパスポートの写し、留学ビザ、送金を証明する書類等の提出が必要となる。
3つ目は、障害者手帳を受け取っていない者でも、障害者控除の対象として、扶養控除等申告書に書いてもよいことがある。
65歳上で寝たきりなどで要介護認定を受けていたとしても、障害者手帳は受け取ることはできない。
しかしながら、市区町村の認定を受ければ、障害者控除を受けることができることがある。市区町村によって要件は異なるが、要介護1以上、寝たきりや認知症等の65歳以上の者は、市区町村に申請し、障害者控除対象者認定書を受け取ることで、障害者控除の対象とすることができる。
(参考)
国税庁 非居住者である親族について扶養控除等の適用を受ける方へ
年末調整でできないものは?
年末調整で所得から控除するべきものは、ほとんどが控除できるが、一方で年末調整では控除できないものもある。
主なものは、次の3項目。
(1)医療費控除
医療費が10万円を超えた分(合計所得が200万円以下の場合は所得の5%)(保険金等で補填された部分は除く)が医療費控除として、所得から控除できる。
もし、医療費が10万円を超えなかった場合でも、セルフメディケーション税制により、ドラッグストアなどで購入した対象医薬品が1万2000円を超える部分が医療費控除として控除を受けられる。
(2)特定支出控除
会社員が、仕事上必要や制服、書籍、資格取得費用を自己負担した場合、単身赴任で自宅に帰るための交通費など自己負担した場合、その支出の額が、給与所得控除額の2分の1相当額を超えるときは、その部分を特定支出控除として所得から控除することができる。
(3)住宅ローン1年目のとき
住宅ローン控除は、2年目以降は年末調整で申告できるが、1年目は必ず確定申告しなければならない。
上記以外にも、生活に必要な資産が災害、盗難等にあった場合の雑損控除、ふるさと納税で5を超える自治体に寄付したときなど確定申告が必要だ。
できるだけ所得控除を増やそう
最近の年末調整や確定申告は、そんなに知識がなくても、ネット上で手順を踏めば簡単に申告できるようになってきている。
年末調整では、家族の分も含めて、1年間に納税者が支払った社会保険料や生命保険料等であれば控除対象にできる。控除対象となるものは、全てきちんと把握し、控除できるものはできるだけ入力しておこう。
年末調整で控除できない医療費控除や特定支出控除も、要件に該当するのであれば、面倒がらずに申告してみよう。還付のみの申告なら翌年1月からe-TAXでスマホから申告可能だ。
文/大堀貴子
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