「麻辣湯」や「火鍋」など、中国発の食文化が日本でも人気を集めるなか、いま注目したいのが中国スイーツだ。SHIBUYA109 lab.が発表した2026年下半期の若者トレンドでは、餅のような食感を楽しむ「もち系フード」が注目キーワードに挙がった。なかでも「上海もち」は、中国のライブ配信で調理シーンが紹介されたことをきっかけに話題となり、中華系スイーツ店への関心も高まっている。
そこで今回は、都内で中国発・中国系スイーツを楽しめる話題の店を訪問。フルーツやクリームを包んだもち系スイーツから、豆花や糖水といった伝統的な甘味まで、実際に食べながら、その人気の理由に迫る。
なぜ今、アジアの甘味?もちもち食感とSNSが広げる新たなブーム
若い世代の食トレンドを考えるうえで、注目したいのが味だけでなく、食感への関心だ。
マイナビが発表した「2026年版 10代女子が選ぶ!今年流行しそうな食べ物やスイーツは?」によると、10代女子が好きな味では「甘い」が57.1%で1位に。また、食欲をそそる食感では「もちもち」が47.6%でトップとなった。
こうした嗜好と重なるのが、もちもちとした食感や、フルーツを使った華やかな見た目を楽しめるスイーツだ。
実際に、SNSやショート動画では、調理の様子やフルーツ、クリームを包んだ断面など、スイーツの見た目や食感が伝わりやすい。動画を通じて目にする視覚的な面白さが、これまで日本ではあまり知られていなかった甘味に関心を持つきっかけにもなっている。
今回は、そんな新しいスイーツへの関心を入り口に、中国や台湾にルーツを持つ甘味に注目。話題のもち系スイーツから、現地で親しまれてきた伝統的な甘味まで、東京で楽しめる店を訪ねた。
上海もちから糖水まで、都内の話題店を実食
まず訪れたのは、大久保にある「芋囍糖水YUKI SWEETS (ユーシータンスイ ユキスイーツ)」だ。
新大久保や大久保といえば、東京を代表するコリアンタウンとして知られるが、実は韓国グルメだけではない。大久保駅周辺には、中国や台湾、香港にルーツを持つ飲食店も集まっている。
例えば、中国発のティードリンク店「新時沏(シンジキ)」では、タピオカドリンクやフルーツジュースなどを楽しめる。台湾系では、タピオカドリンクや台湾茶を扱う「茶咖匠(チャカショウ)」のほか、ドリンクやデザートを提供する「源記(ユェンジ)」もある。こうした店を巡れば、中国や台湾、それぞれの甘味文化に触れられる。
そんなエリアに店を構える芋囍糖水も、甘味好きの注目を集める一軒。中国スイーツを中心に、豆花や糖水、エッグタルトなどをそろえるほか、話題の「上海もち」も扱っている。
店内には日本人客だけでなく、中国語を話す客の姿も見られ、幅広い客層に親しまれている様子がうかがえた。豊富なメニューを前に何を注文するか迷いながら、テーブルに設置されたQRコードからオーダーするのがスタイルだ。
ここで提供している糖水とは、中国南部や香港で親しまれている、甘いスープ状のデザートのこと。豆類や芋類、フルーツなど、さまざまな素材を使ったものがあり、種類も豊富だ。
今回筆者がオーダーした「桃膠ミルク」は、桃の木から分泌される樹脂を乾燥させ、水で戻した「桃膠(タオジャオ)」を使ったスイーツ。ぷるぷるとしたゼリーのような独特の食感が特徴だ。
ひと口食べると、見た目から想像するよりも甘さは控えめ。ミルクのまろやかさに、ほのかな甘みが重なる。さっぱりとした後味も印象的だ。
素材ならではの食感や穏やかな甘さをじっくり味わえるのも魅力。甘いものを食べたい気持ちは満たしながらも、こってりとしたスイーツとはひと味違う軽やかな味わいが楽しめる。甘さの強さよりも、食感やミルクとの組み合わせを楽しむ一品だった。
そして、糖水と並んで気になったのが「上海もち」だ。最近のスイーツトレンドでは、もちもちとした食感を楽しめる商品を目にする機会が増えているが、上海もちもそのひとつ。やわらかな生地とクリーム、フルーツなどを組み合わせた、見た目にもインパクトのあるスイーツだ。
今回は、シャインマスカットとココナッツを組み合わせた上海もちを注文。運ばれてきた商品を見て、まず驚いたのがその大きさだ。大福3つ分ほどはありそうなボリュームで、ひとりで食べきれるのか心配になるほどだった。
実際に食べてみると、やわらかな求肥の中には、クリームチーズとみずみずしいシャインマスカットがたっぷり。ココナツの風味も加わり、もちもちとした生地になめらかなクリーム、マスカットの果汁感が重なる。一般的なフルーツ大福とはひと味違う、食べ応えのあるスイーツだ。
フルーツの種類や組み合わせによっても味わいが変わるため、どれを選ぶか迷ってしまう。メニューも豊富なので、初めて訪れるなら、事前に公式SNSなどで商品をチェックしておくのもよさそうだ。
芋囍糖水では、伝統的な甘味の糖水から、フルーツやクリームを組み合わせた新感覚のスイーツまでそろう。好みに合わせてさまざまな甘味を選べるのも、この店ならではの魅力だ。
食感? ビジュアル? 中国スイーツの多彩な魅力
続いて訪れたのは、高田馬場にある「良縁糖水(りょうえんとうすい)」。
中国・広東省の順徳地方にルーツを持つスイーツ双皮奶(ションペイナイ)や糖水、ココナッツミルクを看板メニューに掲げるお店だ。
双皮奶は、牛乳を使ったプリンのような伝統的な甘味。表面にできる薄い膜が特徴で、なめらかな口当たりとミルクの風味を楽しめる。
今回は、芋圓(ユーユェン)の双皮奶に小豆をトッピング。芋圓はタロイモやサツマイモなどから作られる団子状の甘味で、もちもちとした弾力が特徴だ。白玉に親しみのある日本人にもなじみやすく、なめらかな双皮奶との食感の違いも楽しめる。
フルーツやクリームを組み合わせた華やかな上海もちとは対照的に、双皮奶はミルクのやさしい風味をじっくり味わえる一品。シンプルながら、芋圓や小豆を加えることで食べ応えもあり、満足感のあるスイーツだった。
器も小ぶりで、食後のデザートにもぴったりのサイズ感。お腹に余裕があれば、ミルクフライなどの軽食と組み合わせて楽しむのも良さそうだ。
近年は、バターもちをはじめ、もちもちとした食感を楽しめるスイーツが話題になることも多い。上海もちや芋圓も、そうした食感の楽しさを味わえるスイーツだ。なめらかなクリームやミルクと組み合わせることで、ひと口の中で異なる食感を楽しめるのも魅力といえるだろう。
一方で、糖水や双皮奶のように、フルーツや豆類、ミルクなどの素材を生かした甘味もある。健康志向が高まるなか、単に甘さやボリュームを楽しむだけでなく、素材の風味や食感、甘さのバランスに注目してスイーツを選ぶ人もいるのではないだろうか。
ミスタードーナツの「もっちゅりん」など、身近なスイーツでも親しまれている〝もちもち食感〟。その人気をきっかけに中国スイーツに目を向けると、また違った楽しみ方が見えてくる。見た目や食感だけでなく、素材や製法にも注目すれば、中国の甘味文化をより深く楽しめそうだ。
文/Tajimax
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