タピオカミルクティーのブームから数年。いま、再びミルクティーに注目が集まっている。2026年下半期のαZ世代トレンド予想では、フード部門の1位に「ミルクティー」がランクイン。台湾式や香港式、中国茶を使ったものなど、専門店ごとに個性の異なる一杯が楽しめるようになっている。
かつてのタピオカブームとは何が違うのか。今回は都内のミルクティー専門店3軒を訪問し、メニューの特徴や店内の様子、客層などを取材。広がりを見せるミルクティーの現在地を探った。
タピオカブームから数年、ミルクティーの楽しみ方に変化
2010年代後半、日本で一大ブームとなったタピオカミルクティー。大粒のタピオカを噛む独特の食感や、豊富なトッピング、SNSに投稿したくなる見た目が人気を集め、街中には専門店が次々と登場した。
そして今目立つのは、ミルクティーそのものにこだわる専門店の存在だ。台湾茶を使ったものから、濃厚な味わいが特徴の香港式、中国茶を取り入れたものまで、その選択肢は幅広い。ひとくちにミルクティーといっても、茶葉の種類や製法によって香りや味わいが異なり、店ごとの個性が表れている。
こうした広がりを考えるうえで興味深いのが、専門店を訪れる客層の幅広さだ。専門店では茶葉の説明を受けながら好みの一杯を選ぶこともでき、トッピングや見た目だけでなく、お茶本来の味わいを楽しむスタイルが魅力のひとつになっている。
では、実際の専門店ではどのような一杯が楽しめるのか。まずは台湾茶を扱う店から見ていこう。
台湾式から香港式まで! 都内のミルクティー専門店を飲み比べ
蔵前にある「MEI TEA」は、台湾茶を使ったミルクティーを楽しめる専門店だ。店内に入ると、茶葉の香ばしい香りが漂う。流行のドリンクを扱う店というと、若者でにぎわう光景を想像するかもしれないが、こちらは落ち着いた雰囲気。平日に訪れた際も次々と客が訪れており、年齢層も幅広かった。
今回注文したのは「スノージャスミン」。緑茶をベースにジャスミンの香りを楽しめる一杯だ。注文から5分ほどで提供され、口にすると、まずジャスミンの華やかな香りが広がる。後味はすっきりとしており、香りの豊かさを楽しみながら飲み進められる。甘さは調整できるため、ジャスミンの風味をしっかり味わいたい人は、控えめにしてみるのもよさそうだ。
他にも紅茶をベースにした「アンバーキャラメル」など、異なる茶葉を使ったメニューも用意されている。茶葉ごとの風味の違いを楽しめるのは、専門店ならではの魅力だろう。
店内では茶葉も販売しており、スタッフが丁寧に説明してくれるため、詳しい知識がなくても選びやすい。店で気に入ったお茶を購入し、自宅で楽しむこともできる。
印象的だったのは、ドリンクを購入するだけでなく、茶葉について尋ねたり、説明を受けながら商品を選んだりできること。ミルクティーをきっかけに、台湾茶そのものに興味を持つ人もいるだろう。手軽に飲めるドリンクでありながら、お茶の世界に触れる入り口にもなっている。
続いて訪れた八丁堀にある「漆と日々」は、香港式ミルクティーを楽しめる店。ギャラリーとしての顔も持ち、店内にはエッグタルトの甘い香りが漂う。訪れたのは昼すぎだったが、店内はにぎわっており、その人気がうかがえた。
こちらで味わえるのは、紅茶とミルクのバランスを楽しむ香港式ミルクティー。ひとくち飲むと、紅茶の香りがしっかりと感じられ、ミルクのまろやかさと甘さがほどよく調和している。甘さが前面に出るタイプではなく、紅茶そのものの風味をじっくり楽しめる一杯だ。
抽出のたびに立ち上る茶葉の香り。店主が茶こしを使ってお茶を淹れる様子を眺めていると、ふわりと香りが漂い、思わず気持ちがほぐれる。ドリンクを受け取ってすぐに飲み干すのではなく、氷がゆっくり溶けていくのを感じながら、時間をかけて味わうのもいい。
また、エッグタルトとの相性も抜群だ。紅茶の香ばしさとミルクのまろやかさが、タルトの甘みを引き立てる。実際に一緒に味わうと、その相性のよさを実感できた。
見た目の華やかなドリンクも人気だが、同店で印象に残ったのは、味やビジュアルだけではない。茶葉の香り、抽出する様子、そしてゆっくりと過ごせる空間。そうした要素も含めて、ミルクティーを楽しむ時間が生まれているように感じた。
メニューにはレモンティーや、塩ミルクティーを使ったマキアートなどもそろう。定番のミルクティーだけでなく、ひと味違ったアレンジを楽しめるのもうれしいところ。紅茶好きはもちろん、いつもとは少し違うティータイムを過ごしたい人にも、ぜひ足を運んでみてほしい。
なぜ今、ミルクティー? タピオカブームとの違いから考える
最後に訪れたのは、横浜中華街にある「CHAZHONG-茶种-(チャジャン) 横浜中華街本店」。ここでは台湾式や香港式とはまた異なる、中国茶の新しい楽しみ方に出合える店だ。
同店で注目したいのは、ドリンクの味わいだけでなく、見た目や香りも楽しめることだ。カップに付属するミニ急須にはドライアイスが使われており、煙が立ち上る演出も楽しめる。一般的なミルクティー専門店ではあまり見られない、提供の過程まで楽しめる工夫だ。
中国茶は、茶葉の種類や製法によって香りや味わいが大きく異なる。ミルクと合わせることで、茶葉の個性を生かしながら、より親しみやすいドリンクとして楽しめるのも魅力だろう。普段は中国茶を飲む機会が少ない人にとっても、ミルクティーを入り口に、その奥深さに触れるきっかけになりそうだ。
今回訪れた3軒を振り返ると、ミルクティーといっても、その楽しみ方はさまざまだった。台湾茶の香りを味わう店もあれば、香港式ならではの抽出方法や紅茶とミルクの調和を楽しめる店、さらに煙の演出を取り入れ、中国茶を五感で楽しませる店もある。
かつてのタピオカブームでは、独特の食感やトッピング、写真映えする見た目がミルクティーの大きな魅力だった。一方、今回の取材では、茶葉の種類や抽出方法、香り、提供の演出など、店ごとに異なるこだわりが見えてきた。
茶葉や抽出方法、提供の演出によって、さまざまな表情を見せるミルクティー。そこにも、いま改めて注目したい魅力があるのではないだろうか。
取材・文/Tajimax




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