10月1日、酒税改正が実施された。今回の改定ではビールの税率が引き下げられた一方で、これまで「手軽で安く飲めるお酒」の代表格だった第3の(新ジャンル)ビールのみならず、缶チューハイに代表されるRTD(Ready to Drink、開けてすぐ飲めるお酒)カテゴリーの税率も引き上げられた。
特に缶チューハイは、これまで100円〜200円前後で販売されてきており、「何か飲みたいけどビールは高い」という場合や、「フレーバーのあるお酒が飲みたい」といった気分のときに気軽にカゴに放り込めたという人も多いだろう。
実際、国内のRTD市場は手軽さと低価格を背景に2010年〜20年台を通して順調に拡大を続け、年間販売数量(250ミリリットル×24本換算)で約3億ケースに達する巨大市場へと成長してきた。
今回の改正による値上がりは、単価としては小さいかもしれないが、積み重なればじわじわと家計の負担として効いてきそうだ。さらに今回の改正は、消費者にとっての値上げというだけでなく、これまで「安さ」と「手軽さ」で市場を拡大してきたメーカー側にとっても、製品戦略やコスト構造を見直す大きな転換点となっている。
なぜ今「サワーの素」なのか? 缶チューハイにはない3つのメリット
ただそうした中で、家飲みの時間をただ我慢して削るのは味気ない。そこでいま注目したいのが、より高いコストパフォーマンスを発揮し、自分好みにアレンジして楽しめる選択肢だ。割って飲むタイプの「サワーの素」や、焼酎、ジン、ウォッカなどの「ベース酒」がその主役となる。
割って飲むスタイルが一般化するきっかけとなったのは、2018年頃にヒットしたサントリーの「こだわり酒場のレモンサワーの素」だ。居酒屋の本格的なレモンサワーの味を家で手軽に再現できるとして一気に認知度を広げた。
当初は一時的なブームと見られていたが、その後のコロナ禍による家飲み需要の拡大、度重なる酒税改正や物価高、さらにはソーダストリームをはじめとする家庭用炭酸水メーカーの普及などが追い風となり、単なる代替品を超えた定番カテゴリーとして定着してきているとみられる。
また、メーカー側にとってもメリットがある。缶チューハイは1本ごとにアルミ缶資材が必要になるため、近年の物流費や原材料費の高騰が直接的なコスト圧力となっていた。
これに対し、濃縮液であるサワーの素や大容量のベース酒であれば、1つの容器に入れられる量、1回の輸送で運べる量が格段に増え、包装資材のコストも抑えられる。
そのため増税による缶チューハイ離れを防ぎながら、メーカーと消費者の双方にメリットをもたらす分野と言えるだろう。
一方でなぜいま、あえて「割る手間」をかけるスタイルを選ぶ人が増えているのか。そこには現代の消費トレンドに合致した3つのメリットがあると考えられる。
(1)1杯当たりの圧倒的なコスパ
コンビニなどで買う缶チューハイが1本(350ml相当)150〜200円程度、安売りスーパーでも100〜120円前後かかるのに対し、サワーの素や炭酸水メーカーを活用すれば、1杯当たり数十円を節約できる。毎日飲む人なら家計へのインパクトは十分大きい。
(2)濃さも味も、自分好みに調整できる
缶チューハイはアルコール度数や甘さが固定されているため、「今日はちょっとアルコールを控えめにしたい」「甘すぎるのは苦手だから炭酸を多めにしたい」といったときも、微調整が効かない。
一方で、自分で割るスタイルであれば、その日の体調、気分、合わせる食事に応じて、アルコール度数や味の濃さを自由自在にコントロールできる。近年「スマートドリンキング」などとしてCMで宣伝され、注目される適正飲酒の潮流とも極めて親和性が高い。
(3)家庭の缶ゴミが劇的に減る
家飲みをする人にとって地味に大きなストレスとなるのが、飲み終わった大量のアルミ缶の処理だ。指定のごみ収集日まで部屋に缶を溜めておくのは見た目が良くなく、保管スペースも圧迫する。
サワーの素を使えば、ゴミとして出るのは数週間に1本の瓶・紙パックや割り材の容器程度。部屋の省スペース化とゴミ出しのラクさという点でもタイムパフォーマンス(時間対効果)が良い。
「サワーの素」と「ベース酒」はどう選ぶ?
割って飲むスタイルを始めるにあたり、サワーの素とベース酒の使い分けも意識しておきたい。
○手軽さ重視なら:味つきの「サワーの素」
サントリー「こだわり酒場のレモンサワーの素」やキリン「氷結の素」のように、最初から果汁や甘みが調整されているタイプ。炭酸水で好みの濃さに割るだけで、居酒屋クオリティのサワーが完成する。決まったフレーバーを簡単に楽しみたい人に向いている。
○自由度・アレンジ重視なら:無味の「大容量ベース酒」
宝焼酎などの甲類焼酎や大容量のウォッカ、ラムなど、お酒自体に強い味がついていないタイプ。炭酸水のみならず、緑茶やウーロン茶、ジュースなど、好きな割り材と組み合わせられるため、日によって味を変えたい人や甘さをゼロにしたい人に最適だ。
特別な道具は不要!家飲みクオリティを上げるコツ
バーテンダーのような技術がなくても、以下の3つを意識するだけで家飲みのクオリティが劇的に上がる。
○材料とグラスを冷やしておく
お酒、炭酸水、グラスをあらかじめ冷やしておく。ぬるい材料に氷を入れると氷が溶けて炭酸が抜けやすくなり、味もボヤけてしまう。
○炭酸水は静かに注ぎ、混ぜすぎない
グラスに氷をたっぷり入れ、サワーの素やベース酒を注いだら、冷えた炭酸水をグラスのフチに沿わせて静かに注ぐ。最後にマドラーや箸でクルッと1回上下に混ぜるだけで十分。何度もかき混ぜると炭酸が飛んでしまうため、混ぜすぎないのがポイントだ。
○「ちょい足し」で居酒屋気分
市販の冷凍カットレモンや冷凍グレープフルーツを氷代わりに浮かべたり、チューブの生姜や潰した梅干しをちょい足ししたりするだけで、自宅でも本格感のあるサワーを作ることができる。
値上げ時代を、賢く・心地よく乗り切る
10月の酒税改正は、日々の支出や消費行動を見直す良いきっかけかもしれない。しかし、単に飲む量を減らしたり、味を妥協して満足度の低いお酒に乗り換えたりするだけでは、晩酌の時間が味気ないものになってしまう。
サワーの素や大容量ベース酒を活用した家飲みスタイルは、コストを賢く抑えつつ、自分仕様の美味しい一杯を作れるという合理的で前向きな選択肢の1つだ。値上げの波を上手くかわしながら、自宅でのリラックスタイムをより快適にアップデートしてみてはいかがだろうか。
文/田口遥
大手4社が「新ジャンル」のビール化を発表!酒税改正で覇権を取るのはどのブランドか?
今秋、スーパーやコンビニのお酒コーナーに静かな変化が訪れる。 サントリー「金麦」、キリンビール「本麒麟」、アサヒビール「クリアアサヒ」、サッポロビール「GOLD…




DIME MAGAZINE


















