ソバーキュリアスとは、英語の「sober」(酔っていない、シラフの)と「curious」(好奇心旺盛)を組み合わせた造語。
お酒は飲めるのに、あえて飲まないライフスタイルを指す。
健康上の問題や宗教的な理由で禁酒したり、断ったりすることではなく、自分の意思で飲まないことや飲む頻度を選ぶことを楽しむといった、ポジティブな考え方だ。
“飲む”“飲まない”二者択一ではなく、例えば、「今日は飲まない。でも週末はワインを楽しむ」というのも、ソバーキュリアスということになる。実践している人を「ソバキュリアン」と呼ぶこともある。
もとはイギリス人ジャーナリスト、ルビー・ウォリントンが発案したもので、2018年の著書『SOBER CURIOUS』で自身の体験を交えて紹介したことから始まり、世界的なムーブメントになった。日本でも2021年に翻訳版『飲まない生き方 ソバーキュリアス』が発売されている。
日本でもジワジワと拡がり始めている
日本でもミレニアム世代やZ世代を中心とした若者のアルコール離れが言われて久しい。この背景には健康志向の高まりや景気の低迷などで、お酒はコスパが悪いという考え方の人が増えてきたと推測される。
加えて、コロナ禍以降外飲みも機会が減って、飲酒・飲食との向き合い方が変わったことも関係しているのではないだろうかと筆者は考えている。
ノンアルや微アル飲料の種類が増えていることも関係しているのかもしれない。
ビールテイストをはじめとして、ワインや日本酒、各種カクテル系など、幅広い中から選べるようになっている。わざわざアルコールを飲まなくても、お酒を楽しむ雰囲気だけ味わえることもソバーキュリアスが拡がってきていることのひとつの要因だろう。
事実、サントリーが2025年に公表した自社製品のデータでは、2024年のノンアルコール飲料の出荷は10年前の約1.6倍になっているという。
他社に至っても、低アル・ノンアル飲料を新発売したり、TVコマーシャルしたりしていることを考えれば、かなり市場が拡大していることは簡単に想像がつく。
自分の体質に合わせて飲むものを決めている人が増えているのだ。
ライフスタイルにどんな変化があるのか
ソバーキュリアスを実践することで、飲酒によるデメリットを回避して、以下のようなメリットが得られると考えられている。
1.睡眠の質の向上
2.二日酔いがなくなり生産性が上がる
3.健康管理や生活習慣病対策として有効
4.お金を節約できる
5.酒席での失言や失敗などが防げる
6.自分時間を有効に活用できる
どれもビジネスパーソンにとってうれしいメリットだ。特に生産性の向上は仕事にダイレクトに効いてくる。
明日の予定がある時や飲みたい気分じゃない時、趣味などに時間を使いたい時など、自分の都合と状況に合わせて、取り入れることができるのだ。
実践していくうえでデメリットも
一方で以下のようなデメリットがあることも事実。
1.飲み会や会食の付き合いで気を使うことがある
2.飲酒によるリラックス感や楽しみが減る
3.ノンアル・低アル飲料にお金がかかる
4.飲まないことがストレスになる場合もある
5.ノンアル飲料なら何でも健康的とは限らない
6.周囲とのコミュニケーションに変化が出ることも
特に酒席や会食などでは、何で飲まないのと聞かれたり、周囲に物足りなさを感じさせてしまったりすることもある。
また、お酒そのものが好きな人は、飲まないことをストレスに感じることがあるかもしれない。それに一緒に飲むことを重視する同僚や友人などとは、距離感が少し変わるかもしれない。
しかし、それらのデメリットを回避しつつも自分らしく続けるコツがある。表にしたので参考にしてほしい。
ソバーキュリアスを長く続けていく『5つのコツ』
ちなみに筆者は大の酒好き。飲み仲間や飲み友達も多く、毎日毎晩でも飲みたいタイプだ。
最初は飲まない日を作ることが少し難しかった。しかし、ソバーキュリアスの考え方や行動の仕方を知ってからは、無理なく実践することができている。
そこから実感した『5つのコツ』を書いておこう。
1.週1日だけ飲まない
2.飲まない理由を明確にする
3.アルコールの代用品を探すのではなく、好きな飲み物を見つける
4.飲み会などでは、最初にノンアルをたのむ
5.今日は飲んでもOKの日を設ける
特に5番目が大事だと考えている。ダイエットやトレーニングをしている人なら分かると思うが、“チートデー”と同じ考え方だ。「絶対に飲まない」「断酒する」のではなく、自分なりの飲み方を見つけることがソバーキュリアスの楽しさだと思っている。ルールを厳しくしすぎないことも、長く続けるポイントだ。
文/松尾直俊
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